批評の手帖

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表紙も新たに(!)『クライテリオン』最新号(2021年9月号)が出ます!

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 表紙デザインも新たに(!)、『クライテリオン』最新号(2021年9月号)が今月16日に出ます!
 今号は、実践的な「政策論」と言うより、どちらかと言うと「思想」に傾いた作りで(正確に言うと、思想がなければ実践もないんですが)特集は二つ。一つは、コロナ騒ぎの根源にあるものを見つめるための企画として、「日本人の死生観を問う」。もう一つは、「戦後76年」特別企画として、「保守からの近代日本批判―大東亜戦争への道」です。
 自分で言ってりゃ世話ないんですが、最近の『クライテリオン』は出来がいい(笑)。第一特集の方では、評論家の呉智英氏、精神科医和田秀樹氏、医療ジャーナリスト・医師の森田洋之氏に藤井編集長がインタビューに始まって、私の師匠である井口時男先生(文芸批評家)の「草葉の陰のちゝろ虫―ニヒリズムアニミズム」などを載せています。
 まず、和田氏と森田氏のインタビューは、読んでみて私自身が唖然とするほどの内容です(ほとんど内部告発に近い衝撃がありました)。文学アカデミズム・文芸業界の腐敗は肌身で知っているし、経済学業界の腐敗も推測できましたが、医療業界の腐敗がここまで酷かったとは……いや、しかし、今度のコロナ騒ぎがなければ、この「腐敗」は表に出てこなかったわけで、そう考えると、果たしてその他の業界での「腐敗」がどこまで進んでいるのか……いやはや恐ろしくなってきます。その点でも、これは「宣伝」なんかを通り越して、是非「自粛派」の皆さんにこそ一読していただきたい内容になっています。
 また、井口先生の文章は本当に素晴らしい。正直、読んでいて泣けてくる文章と言うのはそうそう出会えませんが、井口先生の文章は、まさにそういう文章です。と同時に、現代日本人の「生き方」において可能な「死生観」を優しく示してくれていて、私自身考えるところが色々ありました。詳細は書きませんが、是非、手に取って頂ければと思います。
 
 あと、第二特集の方では、格闘家の前田日明氏をお呼びした座談会「日本を取り戻す、その鍵は『武士道』にあり」(×藤井編集長×浜崎)と、文芸評論家の富岡幸一郎氏と政治学者の中島岳志氏をお呼びした「近代日本人の『弱さ』を問う―保守からの『大東亜戦争』再考」(×浜崎)、そして、小幡敏氏の論考「日本、敗れたり」を載せています。
 座談の方は、「サヨク」には絶対できない議論であることはもちろん、ポジション取りに忙しい今の「ホシュ」にもできないであろう議論になっています。つまり、「ポジショントークをやめて、真面目に日本近代史と大東亜戦争に向かい合えば、こうとしか言いようがないでしょ」という議論をしています(笑)。
 また、その後に載っている唯一の論考――表現者賞でデビューした小幡さんの原稿――が、これまた素晴らしい。「新人」を育てるというのが『クライテリオン』の一つの使命だと思ってきましたが、ここまでくれば、その「使命」も完全に果たせたという手応えがあります。何と言うか、もはや私自身が嫉妬するレベルの文章です(笑)。是非、一読していただければと思います。

 ここまで書いてしまうと、私自身の仕事を紹介するのが気が引けてきますが(汗)、念のため書いておくと、①いつもの「続・養老孟司、『常識』を語る―『自足』することと、『自立』すること」の巻頭インタビューと、②第一特集の論考「『死』を信じるということ――森鴎外に倣って」(キェルケゴールハイデガーを意識しながら森鴎外を読み直そうとした原稿です――紙幅の関係もあり、鴎外の歴史小説の描写が甘くなった気がしないでもないですが…)と、③第二特集の座談会「日本を取り戻す、その鍵は「武士道」にあり」(前田日明氏×藤井聡氏×浜崎洋介)と、④同じく第二特集の座談会「近代日本人の『弱さ』を問う――保守からの『大東亜戦争』再考」(富岡幸一郎氏×中島岳志氏×浜崎洋介)の四つになります。
 今回は色々働きましたが(笑)、しかし、その分、雑誌の内容も充実させることができました(もちろん、拙稿に関しての評価は別ですが)。関係者の皆様、本当にありがとうございました!
 
 その他、一々書きませんが、いつもの「連載陣」の原稿も読みごたえ十分です。是非、手に取って頂ければと思います。以下は、目次になります。

巻頭言
◇【特集1】日本人の死生観を問う
多くの国民に感染死をイメージさせたこの度のコロナ禍は、日本人に「死」の問題を改めて向き合う機会を半ば強制的に与えた。
結果、多くの人々は慌てふためき、過剰とも言える反応に終始した。
これはつまり、日本人において「死」の問題に向き合う機会が年々失われつつある事を、
すなわち「死」の裏側にある「生」とは何かを真剣に問う機会および精神そのものが蒸発しつつある事を改めて明らかにするものであった。
日本人の今日の目を覆うばかりの精神的頽廃の背後には、まさにこうした死生観の休息かつ著しい劣化が潜んでいることは間違いない。
本特集ではこうした認識の下、我が国の再生の縁を見い出す事を企図し、日本の伝統的な死生観を見つめ直しつつ、
今日の我が国の死生観の有り様を改めて問い直さんとするものである。

◇【特集2】保守からの近代日本批判 大東亜戦争への道
8月15日、終戦記念日と呼ばれるこの日が近づくとメディア各社は「太平洋戦争」を振り返り、
戦前を断罪する東京裁判史観に立った戦後レジームの維持・強化に大いに貢献してきた。
一方で我が国には、そうした風潮に異を唱え、大東亜戦争にも日本の大義があったと主張する「保守」勢力が存在し、
平成後期にはそれが世論において一気に拡大する情勢となった。
しかし、こうした「保守」の立場に立ってもなお、戦中戦前の近代日本のあり様を批判することは可能である、というよりもむしろ必要である。
そもそも保守であるからこそサヨクよりもより適切でしかも建設的な徹底批判が可能であるに違いないからだ。
本特集では、ホシュによる日本全肯定はサヨクによる全否定と同様に愚かな思考停止に過ぎぬとの前提の下、
大東亜戦争への道そのものに内在する欺瞞や虚無に焦点を合わせ、
保守の立場からあえて戦前戦中の近代日本批判を多面的に論ずるものである。

表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

●目次
◇【特集1】日本人の死生観を問う
[対談]
・死を考えることは大衆社会への問い――国語と共同体の崩壊が導く悪夢/呉智英×藤井聡
・生命至上主義という名の権威主義――人を物と見なす現代医学/和田秀樹×藤井聡
・死生観を歪めた医療ビジネス主義――国民が知らない医療界の「常識」/森田洋之×藤井聡
[論考]
・草葉の陰のちゝろ虫――ニヒリズムアニミズム/井口時男
・「死」を信じるということ――森鴎外に倣って/浜崎洋介
・死と生をめぐる判断と意思決定――コロナ禍を一例として/竹村和久
・祖霊を感じる心――死者と生者の交流の民俗/中尾聡史


◇【特集2】保守からの近代日本批判 大東亜戦争への道
[座談会]
・日本を取り戻す、その鍵は「武士道」にあり/前田日明×藤井聡×浜崎洋介
・近代日本人の「弱さ」を問う――保守からの「大東亜戦争」再考/富岡幸一郎×中島岳志×浜崎洋介
[論考]
・日本、敗れたり/小幡敏

☆【特別インタビュー】
養老孟司、「常識」を語る――「自足」することと、「自立」すること/聞き手 浜崎洋介
江田憲司立憲民主党代表代行に聞く――分配なくして成長なし! 一億総中流社会の復活を! /聞き手 及川健二

☆【連載】
・「危機感のない日本」の危機――「ワクチン敗戦」などではない/大石久和
・欧米保守思想に関するエッセイ 第4回 孤高の哲人、アーヴィング・バビット Part1/伊藤貫
・郷愁(ノスタルジア)について――近代のもう一つの側面/柴山桂太(「常識【コモンセンス】」を考える)
マルクスの亡霊たち――マルクス主義キリスト教1/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー)
・小さきモノへの愛 その2――地形が生んだ将棋地形が生んだ将棋/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
・反出生主義 死者と生者の間に/平坂純一(保守のためのポストモダン講座)
・啓蒙と野蛮の間――死刑制度をいかに語るか/川端祐一郎(思想と科学の間で)
・コロナ自粛論争の「敗因」を考える/松林 薫(逆張りのメディア論)
・「コスモポリタン=コミュニタリアン論争」再考――コスモポリタニズム批判8/白川俊介(ナショナリズム再考)
カタカナ語乱用と英語化現象 自己満足よりも正確な伝達を――言葉から考える9/施光恒(やわらか日本文化論)
・辿りつけない故郷と日本への憎悪/仁平千香子(移動の文学)
・編集長クライテリア日記/藤井聡
・メディア出演瓦版/平坂純一

☆【書評】
『死生論』西部邁 著/前田龍之祐
『「がんになって良かった」と言いたい』山口雄也・木内岳志 著/高平伸暁
『「ポスト・アメリカニズム」の世紀 転換期のキリスト教文明』藤本龍児 著/田中孝太郎
『第三の精神医学 人間学が癒やす身体・魂・霊』濱田秀伯 著/篠崎奏平

☆【その他】
・読者からの手紙
・五輪開会式に見る日本の田舎者根性/SNS時代の「人民裁判」(鳥兜)

 
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 あと、「週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ」(KBS京都ラジオ)でも、今号を記念して「クライテリオンメンバー全員集合特別企画―コロナ禍で日本人の死生観を問う」[2021 8 9放送]が放送されました。「全員集合企画」は次回に続きますが、まずは第一弾のご紹介まで。