批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

保守思想入門・第3回「フランス革命に対する二つの態度~バークとカント」がアップされました!

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 保守思想入門・第3回「フランス革命に対する二つの態度~バークとカント」が、imidasサイトにアップされました。
 今回から、いよいよ第一章に入るわけですが、それに伴って内容が一気に具体的になりました。詳しくは本文を読んで頂ければと思いいますが、フランス革命の混乱のなかで生み出された数々のイデオロギーに対して、文字通り「後手を引くように」バークが登場してくるその瞬間を描いた上で、そのバークの「根本感情」がどのようなものであったのかを確認するために、近代保守思想=バークの崇高論と、近代個人主義=カントの崇高論とを比較対照しつつ、最終的には、カントとロベスピエール、そして、その二人を媒介として浮かび上がるルソー、この三者関係のうちに、近代的自己(理性)と革命(左翼)、そして社会契約論(社会理論)との関係を示唆するとことまでを書いています。
 色々と邪魔が入って仕方ありませんが、いよいよ筆も乗ってきました。一読していただければ幸いです!

『表現者クライテリオン』最新号(2024年5月号)発売と、「辻田真佐憲の国威発揚ウォッチ」と「神社チャンネル」

 まず、『表現者クライテリオン』の最新号発売のお知らせです。
 今回の特集は「不信の構造、腐敗の正体――政治・エンタメ・財務省」。他者に対する「不信」が増せば増すほど、その信頼の穴をシステムで埋め合わせねばならず、社会がシステム化すればシステム化するほど、そのシステムに依存した、あるいは、そのシステムに甘えた「腐敗」が蔓延する……その状況を正確に認識し、それを克服する「思想」を描き出すこと、それが今号の主題です。
 実際、「コンプラ」や「ポリコレ」といった矮小な観念(システム)がこれほど持て囃されている時代もないにもかかわらず、いや、持て囃されてる現在だからこそ、アメリカニズムによって作り上げられたシステムに依存し切った専門人=大衆人たちが跋扈し(財務省、医療業界、および岸田政権)、そのなかを適当に泳いできた人々の「腐敗」が取り沙汰されているのでしょう(自民党の裏金問題、ジャニーズ問題や吉本興業の問題まで)。
 「病膏肓に入る」とは、まさにこのことですが、それでも、そのなかで自分のできることをやっていくしかありません。
 私自身の仕事としては、①「『戦後家族』の運命――私たちの不信と腐敗の起源をめぐって」という特集原稿のほか、②「映画で語る保守思想 第10回―絶望の淵で見出す『希望』とは? 『ペパーミント・キャンディー』を題材に・前編」(藤井 聡×柴山桂太×川端祐一郎×浜崎洋介)の二つに関わっていますが、その他、①與那覇潤氏による連続対談「在野の『知』を歩く—第1回:古典をよむのは「逆張り」ですか?—ゲスト・綿野恵太(前編)」や、今年、表現者賞を受賞した若手新人の首藤小町氏による「ひこばえ 風土に根ざす智慧と美徳:第一回 令和に芽ぐむやまとごころ」などの新連載も始まりました。どちらも、まさに「不信と腐敗」に対する抵抗の実践です。手に取っていただければ幸いです。
 以下に目次を記しておきます。

今、日本では、各領域において激しく進行した「腐敗」が次々と白日の下に
晒されるという異様な光景が繰り返されている。自民党の裏金問題は国民の
政治不信を極限にまで引き上げ、木原元官房副長官を巡る一連の週刊誌報道は
政治のみならず司法に対する深刻な国民不信を導いた。財務省の緊縮的態度は
もはや既にカルトと違わぬと主張する『ザイム真理教』が未曾有のベストセラー
となる程に行政不信も巨大化した。そして、ジャニー喜多川吉本興業
トップ芸人の性加害問題はエンタメ界の「絶対的権力」の崩壊を導いた。
 今、世間ではこうした腐敗対策の必要性が叫ばれ、そのために腐敗の温床
となった組織・共同体の杓子定規な規制導入による弱体化が進められようとして
いるが、そうした表層的対策では事態は悪化する他ない。なぜなら今日の腐敗は
組織・共同体の活性化ではなく弱体化によって進行したものでしかないからだ。
 ついては本誌では今、日本で進行する「腐敗」とそれに対する国民の「不信」
の構造を明らかにすることを通して、その「腐敗」を乗り越えるための方途を
探る特集をここに企画した。
                   表現者クライテリオン編集長 藤井 聡
〔特集〕
不信の構造、腐敗の正体――政治・エンタメ・財務省

【特集対談】
・日本国家の腐敗をいかに乗り越えるか/亀井静香×藤井 聡
・日本を腐敗させる財務省の工作――政官業+メディアは如何に癒着しているか/須田慎一郎×藤井 聡

【特集論考】
・「戦後家族」の運命――私たちの不信と腐敗の起源をめぐって/浜崎洋介
・民主主義にとって「信頼」はなぜ重要か?/吉田 徹
・過剰な「透明性」がメディアを解体する――権力との「癒着」は腐敗なのか/松林 薫
・特権と人権の区別つかぬ自民党/佐高 信
・「木原事件」が炙り出すマスメディアの沈黙――報道機関を覆う「統制」と「横並び」/西脇亨輔
・「内なる地上波信仰」を捨てよ――ジャニーズ問題とその「腐敗の正体」/辻田真佐憲

【新連載】
・與那覇潤連続対談 在野の「知」を歩く 第1回 古典をよむのは「逆張り」ですか?(前編)/(ゲスト)綿野恵太
・ひこばえ 風土に根ざす智慧と美徳 第一回 令和に芽ぐむやまとごころ/首藤小町

【連載】
・「農」を語る 第1回 「農」から考える、文明のあるべき姿/山極壽一×藤井 聡
・映画で語る保守思想 第10回 絶望の淵で見出す「希望」とは? 『ペパーミント・キャンディー』を題材に(前編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・「危機感のない日本」の危機――どこから見ても崩壊している日本/大石久和
・アジアの新世紀 王道を以て覇道を制す――私の見た言論とその未来/大場一央
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第三十一回 マルクスの亡霊たち 日本人の「一神教」理解の問題点③/富岡幸一郎
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第8回 国家の役割を取り戻せ!(後編) 民間委託の推進は本当にいいことなのか? 室伏謙一
経世済民 虫の目・鳥の目  第7回 将来のハイパーインフレに備えるべきこと/田内 学
・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第9回 Sun Ra / Space Is the Place/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑪ 同情闘争は始まっている/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和六年二月~三月/藤井 聡

【巻末オピニオン】
・「嘘」に塗れた日銀利上げ――腐敗を糺さんがために、不信の目を持つべし/藤井 聡

【書評】
・『嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する』山本圭 著/前田龍之祐
・『日本哲学入門』藤田正勝 著/粕谷文昭
・『他人の家』ソン・ウォンピョン 著/橋場麻由
・『キェルケゴール 生の苦悩に向き合う哲学』鈴木祐丞 著/前田一樹
・『一神教と帝国』内田 樹、中田 考、山本直輝 著/冨永晃輝

【その他】
・挽肉は傷みやすい/吉田真澄(寄稿)
保護主義への準備を(鳥兜)
・なぜデフレ脱却、憲法改正、近代の超克が必要なのか?(鳥兜)
・観念に囚われた病人――滅ぶ日本の必然(保守放談)
大阪万博の行き詰まりが象徴するもの(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)

shirasu.io
 そして、少し後のことなりますが、6月18日に、今回のクライテリオンにも寄稿頂いた辻田真佐憲さんの「国威発揚ウォッチ」に出ます。今回のお題は「江藤淳とは何者だったのか?—文芸批評、保守思想、アメリカ」。
 江藤淳は、若い頃に随分と読みましたが、そのウェットな部分が少し苦手で、あまり言及はしてきませんでしたが、しかし、江藤が重要な保守言論人であることに変わりはありません。
 ちなみに、私自身の江藤淳論は、今回のクライテリオンの拙稿や、以下の二冊(↓)なんかで読めます。ご興味がありましたら、手に取って頂ければと思います。



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 あと、先日、「神社チャンネル」の方に出てきました。上記の動画はライブ配信されたものですが、当日は、その他結構色々と収録したので、今後も、「神社チャンネル」「むすび大学チャンネル」と、色々出てくるのではないかと思います(笑)。出来上がり次第、こちらの方に上げていこうかと思います。
 最近の自分にとって「動画」は、ほとんど「社交」の場と化していますが、でも、だからこそ気が抜けない現場でもあります。媚態と意気地と諦念と、その循環のあり方をその都度模索しながら、何とかやっていくしかありません。よろしくお願いします!

動画集成——①表現者塾・塾生募集動画、②5バリューアセット講演(西郷隆盛論)、③映画「ペパーミント・キャンディ」座談会、④文春ウェビナーなど

 紹介しなきゃいけない動画が一杯なので(汗)、一気に紹介させて頂きます。

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 まずは、表現者塾の塾生募集の告知動画です。同じクライテリオンの編集委員である柴山さんと、2023年度の講義を振り返りつつ、来る2024年度の塾への展望を語っています。塾も今年度で6年目に突入しますが、いよいよ塾の「かたち」も整い、各地方支部(信州支部、東京支部、関西支部、埼玉支部など)の活動も活発になってきています。
 ご興味のある方は、これを機会に入塾について考えて頂ければ幸いです。
 ちなみに、3月中は入塾料の割引キャンペーンも行っているとのことで(2024年度「表現者塾」入塾のお申込み | 表現者クライテリオン)、そちらの方も参考にしいていただければと思います。何卒よろしくお願いいたします!


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 あと、これは今年の2月に、クライテリオンにも出資頂いている「5バリューアセット」さんの研修会で講演した西郷南州論です。「なんでお前が西郷隆盛?」と思う方も多いとは思いますが、「尊敬とは何かを、抽象論ではなく、具体論で語ってくれ」という依頼を受けて、自分のなかの「尊敬する人」について語った講義になっています。
 ただ、一点だけ修正があります。講義の中で『南洲翁遺訓』を編んだのは会津藩の武士だったとか言っていますが、もちろん、正しくは庄内藩の武士です。戊辰戦争の際に西郷さんが示した会津藩庄内藩に対する温情を混同してしまって、「会津藩」とか言ってしまったんだと思いますが、ご寛恕下さい(こういうところに、素人くささが出てしまってますね…汗)。すみません。
 ちなみに、この1時間半の講義を聴くのが面倒だという方は、是非、以下のサイトで「講義のまとめ」の方をお読み下さい。前回と同じで、これまた物凄く丁寧かつ正確かつ広がりのあるライティングで(ライターの方にも会いましたが、やっぱり「学」のある人でした)、こちらが恐縮してしまうほどの「纏め」になっています。正直、だらだらと講義を聞くより「纏め」の方がいいかもしれません(笑)。よろしくお願いします!
西郷隆盛と動的宗教(1)|5バリュースクウェア
西郷隆盛と動的宗教(2)|5バリュースクウェア


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 あと、これは次号のクライテリオン(4月中旬刊行)にも載る予定の映画「ペパーミント・キャンディー」(イ・チャンドン監督/1999年製作・2000年公開/130分/R15+/韓国・日本合作)についての生座談会です。
 今回は私が映画を選定しましたが、やっぱりいい映画です。この映画、学生時代ぶりに見返したんですが、若い頃には分からなかった細かい演出が痛いほど突き刺さって、「人間の運命」の手触りを蘇らせます。
 これはクライテリオンの宣伝とか関係なく、映画を見ていない方は、是非ご覧になっていただければと思います。


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 で、これで最後ですが、またしても與那覇さんとやっている文春ウェビナーの切り抜き動画です。動画の検索をするたびに、新しいものが出てくるというのはどういうことだろうと思いつつ、念のためご紹介差し上げます(笑)。
 とはいえ、今見ても、ロシア論なんかは古くなってませんね(というか、当たっていると思います)。よろしければ是非。

映像講座「学校では習わないもう一つの日本史」の発売決定!

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 経営科学出版さんの方で、新しい映像コンテンツを作成・販売することになりました。題して「学校では習わないもう一つの日本史」(Vol1~Vol4)。
 概要については、動画でも告知していますが、要するに「日本思想400年史」です。江戸思想を茂木誠先生(作家・予備校講師)、幕末から明治近代を大場一央先生(儒学者・大学講師)、戦前日本を辻田真佐憲先生(歴史家・京都大学客員准教授)、戦後思想を柴山桂太先生(経済思想・京都大学准教授)のミニ講義と私との対談で纏めた豪華な講座となっています。
 4人の先生方との対談は、私自身にとっても刺激的なものになりましたが、講座のクオリティも、おそらく私一人でやる講座より、ドライブ感や広がりが出ているのではないかと思います。
 少々値段が張るよですが(汗)、よろしければ広告だけでも見ていただければ幸いです。「今、なぜ江戸なのか」について話している動画もあります(学校では習わないもう一つの日本史vol.1)。是非、よろしくお願いします!

オルテガ『大衆の反逆』の書評(『文藝春秋』2024年4月号)と、茂木誠先生とのトークイベントの告知と、過去の文春ウェビナー

ISBN:4003423119

オルテガ『大衆の反逆』書評(『文藝春秋』2024年4月号)

 まず、與那覇潤さんとのリレー書評連載「『保守』と『リベラル』の教科書」の原稿―オルテガ『大衆の反逆』(岩波文庫)の書評です。これは『文藝春秋』の最新号(2024年4月号)に寄稿した書評ですが、書いていた時期が丁度「喪われた『批判の作法』」(『正論』2024年4月号)を書いていた時期と重なっていたこともあって、内容がかぶっている部分もありますが...、それくらいオルテガの言葉が普遍的だということで、ご寛恕願えれば幸いです(汗)。よろしくお願いします!


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 あと、またしても 茂木誠先生とのトークイベント@京都をやります!「戦争の哲学/京都学派と大東亜戦争」と題して、6月22日(土)14:30~、TKP京都四条駅前ホール8Bでイベントを行います。申し込みの方は、もぎせかチャンネル - YouTubeか、TOP | mysiteの方で、5月中旬に公開するとのことですので、そちらの方を参照いただければと思います。気が付けば私の方からも再度告知させていただきます。
 いかにも「京都」でやる甲斐のある主題ですが、果たして、どこまで話せるのか…私自身、茂木先生との対話を楽しみにしています!


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 そして最後に、これはトークイベントの動画を探していたら出てきたものですが、またしても文春ウェビナーで未紹介の動画があるようです。このブログは記録用としても使っているので(汗)、これも念のため上げておきたいと思います。
 そういえば、こんなことも與那覇さんと議論していましたね(笑)、よろしければ是非。

『正論』の最新号(2024年4月号)に「保守派」批判の論考「喪われた『批判の作法』」を寄稿しました!

 先日、本当に久しぶりに『正論』に寄稿しました。題して「喪われた『批判の作法』」。
 今回の原稿は、あっさり言えば、今や「自分の外」に敵を見出し、ルサンチマンと被害妄想を膨らませながら、相手を罵倒するしか能がなくなった……つまり、「批判の作法」を見失った「現代日本の保守派」に対する批判文です。
 しかし、「保守派」の堕落は今に始まったことではありません。原稿でも書いているように、高度経済成長後に「国家」へと依存しはじめた「大衆」を見て自らのナルシシズムを肥大化させ始めた「保守派」は、その後のソ連崩壊によって棚ぼたで転がり込んだ「東西冷戦の勝利」を自分たちの勝利であるかのように錯覚し、それゆえに、冷戦を終えて庇護国から収奪国へと変わった米国の動向(グローバリズム)をも見極められないまま、その後の「失われた三十年」のなかでますますはしゃぎ始めることになるのです。そして、その先蹤が、「戦後の人気者」であった清水幾太郎の右旋回であり、また、その右旋回を「蕩児帰る」とばかりに迎え入れてた80年代の保守論壇の変質でした。その頃から、「保守派」は、「ものの言い方」(言論人の態度・姿勢)よりも、その「主張内容」(イデオロギー)を優先させながら、右なら味方で左なら敵という硬直した態度へと陥っていくことになるのです。が、それこそ、保守と見ればそれを頭から否定してきた左翼と同じ穴の貉ではないのか。
 ……と、書いているとキリがないので、あとは、実際に読んでいただければと思います。

 それにしても、今、思い出すのは、かつて、ある保守言論誌の編集者から言われた言葉です。彼女は言ってました、「今の保守派の人気者のほとんどは〝安部と共に去りぬ‶ですよ」と。しかし、全てが時代の流行でしかないのだとしたら、それこそ「言論は空しい」(福田恆存)と言うのが正しいのでしょう。が、「空しい」からといって何もしないのは、もっと空しくなるだけなので、依頼があれば、こうやって寄稿もするのです(笑)。

「保守思想入門」第二回―序章「保守思想」とは何か~「伝統」と「実践知」について

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 ようやく「保守思想入門」の第二回目をアップすることができました(念のため、第一回目も載せておきます)。
 序章の2回目は「『伝統』と『実践知』について」と題して、私たちの実践を支える「暗黙の力」としての「直観」「先入観」「伝統」を主題としています。第一回目よりはちょっと抽象的かもしれませんが、難しいことは一切書いていないつもりです(というより、原稿用紙20~25枚前後の「読み切り」連載では、難しいことを書くこと自体が難しいです・笑)。
 これで保守思想の「入り口」を示す序章は終わりたいと思っていますが、これからどうなることやら……。頭の中では、ぼんやりとした設計図はありますが、まさしく「保守思想」が教えるように、こればっかりはやってみなければ分かりません。そこが恐いところだし、一回一回が勝負になるところなんですが、ご興味があればお付き合いいただければ幸いです。

 日本で「保守」と言うと、まずは「靖国」とか「改憲」とか「皇室」とか「防衛」などといった実践的主題がイメージされるとは思いますが――そして実際、それらは物凄く重要な主題なのですが――、なぜそれらの主題が、私たちにとって「重要」かつ「論じるべき主題」になるのか、本稿では、それらの主題を導きだしてくる〝保守の構え〟を確認しながら(つまり、実践的主題の手前にある前提、その思想的根拠を確認しながら)、丁寧に論を運んでいきたいと思っています。たぶん、それくらいしいないと、この薄甘い日本的リベラリズムの空気(偽善と欺瞞)に覆われた戦後空間において「保守の知恵」を甦らせることは不可能でしょう。
 まぁ、この「幼稚な戦後」にどこまで付き合うのか、あるいいは、どこまで媚態を示すのかという問題はありますが、チャンスが与えられるのなら、全力で説得を試みるまでです。「思想」という回り道を介してですが、改めて「保守」を考える機会になればと思っています。一読いただければ幸いです。