私が編集委員として関わるものとしては最後の『表現者クライテリオン』(7月号)が出ました。
詳しくは本誌掲載の「読者の皆様へ—雑誌運動の継承と刷新」の全文(あるいは編集後記など)を読んで頂ければと思いますが、その編集体制の変更に関する部分のみを引用すれば…、以下の言葉に尽きるかと思います。
「『表現者クライテリオン』は、次号から編集体制を一新する。編集委員ではなく規準社が編集権を持って運営する体制となる。編集委員が『個』として雑誌に関わる体制から、規準社が『組織』として運営全般に関し責任を持つ体制への移行である」。「この八年間、雑誌を牽引してきたのは藤井聡編集長であった。現在は編集委員を離れており、読者の中には複雑な思いを抱いている方もおられるだろう。しかし、本誌は編集委員が個人として参加する雑誌であり、われわれが事情を承知していない事柄について、この場で論評を行うことは差し控えたい。いずれにせよ、今回のリニューアルは、以前から議論を重ねてきた体制移行の一環であり、昨今の件とは直接の関係がないことは申し添えておく」、「文芸誌や論壇誌は、どれもそのような運命を辿っていく。雑誌は、一人二人の情熱だけでは続かない。書き手と編集者、また営業から発送、宣伝、催事の運営に至るまでを手伝ってくれる協力者、広告を提供してくれる支援者、そして何より読者の支持があってはじめて続く運動である。誰もが気軽に『保守』を名乗る今の言論状況にあって、真正保守として三十年余の歴史を重ねてきた本誌の運動はこれからが正念場である。この雑誌を手に取ってくれた全ての読者に、この八年間の応援をあらためて感謝するとともに、次号から始まる新世代の雑誌づくりに、引き続きご支援を賜れば幸いである。」(編集委員を代表して—柴山桂太)
……この8年半、本当に色んなことがありました……が、まだノスタルジーに浸るのは早そうなので(笑)、改めて雑誌及び規準社へのご支援を賜りますようお願い申し上げたいと思います。次号から、私自身は編集委員を降りますが、それは即ち雑誌の「自立」を意味しています。とはいえ、引き続き、陰に陽にと雑誌をサポートしていきますので(アドバイザリーのような立場で——新体勢の詳細については、おそらく次号での告知になるかと思います)、より一層のお引き立てをお願い申し上げたく、今後とも、何卒よろしくお願い致します!
で、今号の特集ですが、ずばり「アメリカが世界を破壊する」と「さらば『平成保守』!」の2本立てです。
私自身は特集座談会「アメリカはどんな『世界』を目指すのか」(施光恒氏×柴山桂太氏×川端祐一郎氏×浜崎)に参加するとともに、巻末オピニオン「変貌するアメリカ—自由の限界について」を寄稿しています。眼に留まることがあれば、一読頂ければ幸いです。
その他、第一特集の「アメリカが世界を破壊する」の方は、 森本あんり氏、会田弘継氏、中田考氏、安藤礼二氏、白井聡氏、ジェイソン・モーガン氏、柴山桂太氏による寄稿があり、ハッキリ言って「贅沢」の一言に尽きます(笑)。
また、 第二特集「さらば『平成保守』!」の方は、辻田真佐憲氏、梶原麻衣子氏(元『WiLL』『Hanada』編集者)、中村雅和氏(産経新聞社/『正論』編集部)、藤井雄太氏(規準社)、川端祐一郎氏による寄稿があり、こちらの方も「平成保守」の時代を掻い潜って来た方々の体験談を含め、そんじょそこらでは読めない「平成保守論壇総括」の貴重な言葉が読めるはずです。
以下に、巻頭言と目次を提示しておきます。参考にして頂ければ幸いです。
巻頭言
トランプを一言で形容すれば、やはり「壊し屋」ということになるだろう。「相互関税」によって国際自由貿易の時代に終止符を打ち、軍事負担を増やせという要求に応じたNATO加盟国は、軍事費をGDPの5%にまで増やすことで合意した。 そして、現下のイラン戦争である。事前の通告も、関係国への丁寧な根回しもなく、いきなり空爆して指導層を排除する。国際秩序は過去のさまざまな合意の積み重ねで成り立っているから、トランプはそれを一気に打破しようとしている。
背景には、このままではアメリカの衰退を止められないという危機感があるのだろう。だが、旧秩序を強引に新秩序に転換させようというのは、失敗の可能性がきわめて高いギャンブルである。果たしてトランプは何を目指しているのか。高市政権はこのままアメリカを支持し続けるべきなのか。イランの側は、どのような原理でアメリカと対峙しようとしているのか。イラン戦争をめぐるさまざまな論点を掘り下げながら、世界と日本の将来を考える。
表現者クライテリオン編集委員 柴山桂太
目次
【特集座談会】
・アメリカはどんな「世界」を目指すのか/ 施 光恒×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
【特集論考】・「海」の帝国と「陸」の抵抗 トランプ主義の先に待つ大空位時代/ 柴山桂太
・アメリカの無理解と市民宗教の消失/ 森本あんり
・宗教地政学から読み解くイラン・アメリカ戦争の意味/ 中田 考
・アメリカの暴力性について/ 会田弘継
・不滅のイラン、来るべき哲学の革命に向けて/ 安藤礼二
・保守の隷従、リベラルの屈従/ 白井 聡
・ワシントンはリベラル主義を武器にして世界を破壊した/ ジェイソン・モーガン
【特集論考】
・人格と教養 令和の保守に残された宿題/ 川端祐一郎
・わが体験的「平成保守史」/ 辻田真佐憲
・「言論の空疎化」に保守はどう向き合うべきか 対米自立を“軸”として/ 梶原麻衣子
・「活字による社交」はどこへ消えたか/ 中村雅和
・「揺りかご」を壊すとき/ 藤井雄太
【連載・特別対談】
・與那覇 潤連続対談 在野の「知」を歩く 第10回 「心」を語らない臨床の半世紀 (後編)/ ゲスト 信田さよ子
・虛構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第四十四回 世界潮流の中の日本 イラン国家の不滅性/ 富岡幸一郎
・満洲こぼれ話 第⑥回 “戦争を見る眼”と敗戦前後/ 小幡 敏
・「農」を語る 第②回 「農」の課題を映画で描く (後編)/ なるせゆうせい×藤井 聡
・「過剰医療」の構造と「適正な医療」のかたち 第⑫回 「透析医療」の闇 病院の都合で奪われる患者の自由/ 森田洋之
・日本のアンチモダン 第⑪回 東洋的豪傑② 西部死すとも、保守は死せず 『保守のコスモロジー』をめぐる真我のありか/ 平坂純一
・東京ブレンバスター24 彼女がスニーカーに履き替えたら れいわ新選組とは何だったのか/ 但馬オサム
・リレー連載 映画とわたし 第⑧回 逆噴射家族 小林よしのり「風刺する精神」/ 平坂純一
【寄稿】
・古流剣術から学ぶ生きる知恵 令和の時代の武士道の実践/ 脇 拓也
【巻末オピニオン】
・変貌する「アメリカ」 自由の限界について/ 浜崎洋介
【書評】
・『コンサルの正体 国家を蝕む黒幕たち』マリアナ・マッツカート、ロージー・コリントン 著/ 田中孝太郎
・『キリスト教ナショナリズム 不穏なアメリカの変貌』森本あんり、渡辺靖 著/ 粕谷文昭
・『保守のコスモロジー』富岡幸一郎 著/ 小野耕資
・『ロシア宇宙主義全史 神化思想からトランスヒューマニズム・人新世へ 』乗松享平 著/ 山田陣之祐
・『天皇への敗北 シリーズ哲学講話』國分功一郎 著/ 髙橋直也
imidas.jp
あと、保守思想入門の第12回「『伝統』はどのようにして発見されるのか?——近代日本と小林秀雄」をようやく公開できました。テーマが小林秀雄ということで、どこまで新しいことが書けるのか…と思っていましたが、小林秀雄の「批評」において、西田の「純粋経験」と九鬼の「運命論」との交点を見いだすというアクロバティックな(しかし整合的な)議論をしています。おそらく、相当新しい視点だと思います(笑)。こちらの方も、ご興味がありましたら一読頂ければ幸いです。
また、今回が日本編に入ってから3回目の連載ということで——①日本人論(木村敏、梅棹忠夫、丸山眞男、河合隼雄、山本七平など)、➁日本哲学論(西田論・九鬼論)、③日本批評論(小林秀雄論)――あと、残すところは、最終回の④戦後論(福田恆存、三島由紀夫、江藤淳etc…)のみとなりました。掲載が遅れ、本当に終わるのか(?)とも思った連載でしたが…、ようやく後一回のところまでたどり着きました(本当に筆が遅くて申し訳ありません…汗)。
引き続きのご愛顧を賜りますようお願い申し上げます!
で、後は文集PLUSと表現者クライテリオン・チャンネルの動画です。ご興味がありましたら、こちらの方もよろしくお願いします!
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