批評の手帖

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中島岳志氏『超国家主義―煩悶する青年とナショナリズム』(筑摩書房)の書評が日経新聞に載りました。

超国家主義 (単行本)

超国家主義 (単行本)

 中島岳志氏『超国家主義―煩悶する青年とナショナリズム』(筑摩書房)の書評を今朝(5月5日)の日経新聞に寄稿しました。
 新聞書評なので文字数が少ないのが残念ですが、今こそ読まれるべき本だと思いました。たとえば橋川文三の『昭和維新試論』から「超国家主義」に入るのは玄人なんでしょうが、中島さんの間口はもっと広い。というより以上に、中島さんが、列伝形式で描き出す〈超国家主義者たち=煩悶する青年たち〉の肖像は、間違いなく現代の「青年」にまで繋がっています。できるだけ多くの若者に手に取ってもらいたい本だと思いました。
 と同時に、ここに書かれた主題――「理想は現実を超えなければならないが、しかし、それをリアライズしようとした瞬間、それはディストピアを帰結する」というアポリアを裏返すと、実は「現実を超えて現実を支えるはずの超越的価値(倫理)が、しかし、近代日本においては、ついに現実のなかにしか見出すことができない」という私自身の主題(アポリア)に繋がってきます。もしかすると、それこそが、文学的に政治を語る中島さんと、政治的に文学を語る私との違いになってくるのかもしれません……が、いずれにしろ、何を言っているか分かり難いと思いますので(笑)、興味を持たれた方は、是非、中島さんの『超国家主義』と、できることなら『表現者クライテリオン』7月号での私の連載「近代/日本を繋ぐもの―日本近代批評史試論②」を読んでいただければと思います(どさくさに紛れて、自分の宣伝までしてしまいました…すみません)。
 書評の方は、以下の日経のサイトからアクセスできるようです→https://www.nikkei.com/article/DGXKZO30082300S8A500C1MY6000/ よろしくお願いします!