批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『表現者』(9月号、68号)に「『民主主義』、この反知性的なるもの」を寄稿しました。

 「『民主主義』、この反知性的なるもの」を寄稿した『表現者』(9月号、68号)が、昨日自宅に届きました。
 この度の特集は「アメリカ―その覇権と孤立」と題されていますが、私自身も、トクヴィルやホーフスタッターの言葉を借りながら、ヨーロッパや日本とも違う「アメリカン・デモクラシー」の特異な性格と、その結果として出来した「トランプ現象」について書いています。宗権からの離脱として実現したヨーロッパの「民主主義」と、ピューリタ二ズムを基盤として実現されたアメリカの「民主主義」の性格の違いなど、ちょっと考えてみれば分かるはずの話だと思うのですが、しかし、それが日本で意識されることはほとんどない。その証拠に、この度のイギリスのEU離脱とトランプ現象が、日本では同じ「ポピュリズム」や「孤立主義」として語られてしまっています。が、トランプ現象が、やや変則的ではあるものの〝アメリカの理念″に閉じこもろうとしている現象であるのに対して、ブレグジットは〝EUの理念”から脱出しようとしている現象です。その意味で、「トランプ現象」と「ブレグジット」は、「反エリート主義」という似ている面を持ちながら、やはり違う現象として捉えられるべきでしょう。
 いずれにせよ、すでに世界が違う局面―1980年代に幕を開けた「グローバリゼーション」の終りの始まり―に入り始めていることが確かであるにもかかわらず、日本では、先の都知事選でも分かるように、未だに、冷戦期の「反米左派」と「親米保守」の思考停止、あるいは「市場原理主義」と「緊縮財政主義」の思考停止がまかり通っています。「ナショナリズム」を普通に生ることさえできず、「改憲」や「財政出動」と聞いただけで及び腰になるそんな国が、この先も国家であるという保証はどこにもありません。

 ちなみに、告知が遅れてしまいましたが、8月20の「表現者シンポジウム」に登壇する予定です。参加希望の方は以下の要領でお申込み下さい。よろしくお願い致します。

8月20日(土)。
会場:四谷区民ホール。
18:30開場、19:00スタート。
・基調講演(西部邁
・第一部「護憲の妄論を排して、改憲の道筋を明らかにせよ」
佐藤健志浜崎洋介富岡幸一郎西部邁
・第二部「安倍・プーチン会談を受けて、米中ロ外交をいかに展開させるか」
馬渕睦夫木村三浩富岡幸一郎西部邁
会費2000円。

参加ご希望の方は、郵送ないしファックスで下記宛にお申し込み下さい。
西部邁事務所
〒157−0072 東京都世田谷区祖師谷3-17-22-303
FAX:03-5490-7576
お申し込みの際は、お名前、ご住所、電話番号、参加人数を記入下さい。