- 作者: 福田恆存,浜崎洋介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/12/18
- メディア: 文庫
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『保守とは何か』に引き続き、この度も「編集」と「解説」を担当させていただきましたが、もちろん前回とはそのコンセプトを変えています。『保守とは何か』が福田の論考を年代順に並べながらその全体像を示した「基礎編」だったとすれば、この度の『国家とは何か』は、主に福田の政治観、国家観に焦点を合わせながら、それを主題別に並べて編んだ「応用編」だと言うことができます。
ただ、世間では「論争家」としての福田恆存の方が有名でしょうから、むしろ『国家とは何か』に収めた評論の方が馴染みがあるかもしれません。しかし、そろそろ「戦後最大の保守派の論客」などというクリシェで福田恆存を分かった気になるのはやめていい頃です。右は右で福田恆存という名が「保守主義」の身元保証にならないことに気づくべきでしょうし、左は左で福田恆存を「保守反動」の一言で切り捨ててきた自らの愚かさを自覚すべきなのです。ただ、そんな思いが本当に形になっているかどうかは、実際に本書を手にとって確認して頂くしかありません。
福田恆存の言葉が、一人一人の心の底に届くことを祈っています。
以下は、『国家とは何か』の目次+内容紹介です。引き続き担当の西さんには心から感謝申し上げます。
・『国家とは何か』―目次
Ⅰ・政治とは何か
「俗物論」/「少数派と多数派」/「私の政治教室」
Ⅱ・国家とは何か
「国家的エゴイズム」/「現代国家論」
Ⅲ・戦後とは何か
「個人と社会」/「政治主義の悪」/「現代の悪魔」/「当用憲法論」/「防衛論の進め方についての疑問」
Ⅳ・国家と個人
「孤独の人・朴正煕」/「近代日本知識人の典型清水幾太郎を論ず」・編者解説―「政治」の酷薄さに耐えるために(浜崎洋介)
・蘄田恆存の政治論・国家論のエッセンス
文学と政治の峻別を説いた文学者の蘄田恆存は、政治や国家をどう論じたのか? 「個人なき国家論」への批判は今こそ読むに値する。・担当編集者より 好評だった『保守とは何か』に続く、蘄田恆存アンソロジーの第2弾です。気鋭の文藝批評家・浜崎洋介氏の優れた編集により、蘄田恆存の「新しさ」を再発見できます。「戦後最大の保守論客」と言われる蘄田は、実は「最も現代的な文学者・思想家」で、進歩派以上に真の意味でリベラルですらありました。「個人なき国家論」 に対する批判は、今こそ読むに値します。