- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/12/10
- メディア: 雑誌
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サンフランシスコ講和条約締結を前にして設立された「平和問題談話会」(清水幾太郎、丸山真男、都留重人など)に対する福田の態度、また「戦後日本」の「空気」に対する福田の姿勢などを確認しながら、実は福田恆存の批評の核心には常に、明治の文明開化=近代化以来の「文化」の喪失、「生きかた」の喪失という問題意識があったといったことを論じています。「生きかた」の喪失こそが、その喪失感の穴を政治理念で埋め合わせる……たとえば戦前の大東亜共栄圏、あるいは戦後の平和と民主主義に浮かれ騒ぐ「偽善」を、そして、それに自己陶酔してしまう近代日本知識人の「感傷」を招いたのだといったようなことを書いています。一読して頂ければ幸いです。