批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『すばる』(2015年2月号)に「柄谷行人試論―〈単独者=文学〉の場所をめぐって」を寄稿しました。

すばる2015年2月号

すばる2015年2月号

 「柄谷行人試論−〈単独者=文学〉の場所をめぐって」を寄稿した『すばる』(2月号)が明日発売になります。掲載誌自体は既に昨年末に手元に届いていたのですが、年末年始のバタバタで告知が少し遅れてしまいました。ちなみに、この度の『すばる』2月号の特集は「批評の更新2015」と題した〝批評特集号〟です。『群像』が新人賞の「批評部門」を廃止するなど、文芸業界における「文芸批評」の伝統が途絶えかけている現在、『すばる』編集部の頑張りは小さな希望です。

 既に公にしている事実ですが、私の文学的青春は「柄谷行人」と共にあり、かつ、その延長線上でNAMという政治運動にまで関わった過去があります。この度は、そんなかつての自分への「落とし前」をつけるつもりで一気呵成に書き上げました。もちろん、50枚程度の原稿で完全な「けじめ」が付けられるはずもありませんが、まずは最初の一歩だと考えています。いつの間にか論壇誌に書くことの方が多くなってしまいましたが、考えてみれば、文芸誌に載せる長編評論としてはこの「柄谷論」が自分のデヴュー作となります。その意味でも記念となる一歩でした。こんな私に機会をくれた編集部のYさんには心から感謝です。
 また、私の他に6人の若手批評家―大澤聡氏、大澤信亮氏、田中弥生氏、福嶋亮大氏、山田航氏、渡邉大輔氏―が「文芸批評」の競作をしています。それぞれの個性を読み比べてみるのも一興かと。手にとって頂ければ幸いです。

 ちなみに、この度の『すばる』2月号は、小林秀雄の全集未収録作品三つ(『満州新聞』初出)を収録するという大盤振る舞いです。そちらの方も要注目です。