批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『「過剰医療」の構造』出版!

 先日、『「過剰医療」の構造』がビジネス社さんから出版されました!
 これは、クライテリオンでも特集した「『過剰医療』の構造―病院文明のニヒリズム」を再編集・増補して書籍化したものです。つまり、一定期間しか書店に並べられない雑誌という形態ではなく、長く書店に置いてもらい、また、雑誌購読者以外の方にも参照していただけるような形に整えて、改めて「過剰医療問題」を広く読者に訴えたいということで作った本です。
 私自身、「人間のための医療か、医療のための人間か——『過剰医療』批判序説」という原稿に手を入れて再録していますが、何よりの目玉は、やはり、藤井聡編集長書下ろしの「『過剰医療』が今、日本を滅ぼしつつある」でしょう。これを読めば、コロナ騒動時の「過剰自粛」が、何に由来していたのか(一因)も明確に分かるかと思います。
 日本人の国民性として、何かのレールを敷かれると、その上を疑いもせず走り、しかも、途中で方向転換もブレーキも効かないということがままありますが、この世界に類を見ない「過剰医療」もその一例です。歴史の中で培われた「悪癖」は、なかなか厄介ですが、何度か滅びかけるような危機を通じて(あるいは、次が本当に滅ぶ時かもしれませんが…)、時間をかけて治していくしかないのでしょう。滅びの方が早いのか、それとも、私たちの自己修正が間に合うのか。
 まぁ、一度しかない人生、「滅ぶ」と分かっていても努力するしかありませんが(笑)。

 ちなみに、藤井編集長と私以外の執筆者の皆さんは、医療倫理学の専門家を含め、全員医療関係の先生方ですので(執筆者は全員で11人)、学術的な意味も十分あると思います。以下は、アマゾンの宣伝文です。参照いただければと思います。

患者の幸福を考えない、医者と官僚の利権天国。
この国は破綻する!

現場のリアルを知る関係者たちが、
厚生労働省ムラ」の罪を告発。

藤井氏による「特別書下ろし」を加え、
論壇誌『クライテリオン』の大人気特集を書籍化!
ウイルス学者 宮沢孝幸氏と藤井聡氏との特別対談も収録

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「過剰医療」問題が隠蔽され続けてきたのは、
100兆円規模にも及ぶ病院や製薬メーカー、
保険会社といった医療関連業界にとって、
それが「不都合な真実」だったからだ。
彼らは医療が過剰であればあるほど、
利益を拡大できるのだ。
しかも彼らは常に、戦後日本を覆う
「生命至上主義」という空疎なイデオロギーで正当化され続けた。
これがあれば、過剰医療の批判者たちを
常に「生命を軽んじる人非人」扱いし、無力化できるからだ――本文より