批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『吉田健一に就て』(国書刊行会)の出版と、レジリエンス・フェスのお知らせと、表現者塾の塾生の皆さんへのお詫び

 ついに、『吉田健一に就て』(国書刊行会)が発売になります(10月22日刊行予定)。
 この本、今朝、手元に届いたんですが、装丁の潔さ・美しさ、552頁のボリューム、4500円という値段(笑)、どこをどうとっても手抜きのない本だとため息をついております。こういう本を出してくれるのが、国書刊行会。さすがです!
 そして、今回、編集を主導した川本直さん(また、同じ編集委員樫原辰郎さんと武田将明さん)、さらに実務を担われた礒崎純一さんの労を考えると本当に頭が下がります。心からお疲れさまでした。
 これだけの吉田健一論を企画するのも大変だったと思いますが、実際に、一人一人の著者に声をかけ、著者の傾向を考え、交渉し、原稿をもらい、ゲラ修正し…膨大な時間がかかったと思います……が、その甲斐あって、ここに、このように立派な論集が出来上がりました。これが文芸書の風格です(最近、ビジネス寄りの出版社との交渉が増え、その本に対する美意識=教養のなさにイライラしていました...)。機会があれば、是非、手に取っていただければと思います。
 私自身、久しぶりに「福田恆存吉田健一—『日本に就て』を肴に」という文芸評論を寄稿しています。吉田健一好きや、その研究者たちの間に交じって、少々浮いている気もしないではありませんが(笑)、しかし、このように素晴らしい論集に参加させていただいたことには心から感謝しています。ありがとうござました! 
ちなみに、『吉田健一に就て』刊行記念イベント(14:00~18:00)を、11月23日(木・祝)、東大駒場18号館ホールでやるらしいです(入場無料、一般参加可能/リモートなし)。まだ、告知を徹底していないみたいですが、気になる方は後日調べてみてください(まだネットには出ていませんが…)。できれば、私も駆け付けたいと考えています。
 以下は、『吉田健一に就て』の目次となります。ご参考までに。

吉田健一、万華鏡。
文明、言葉、近代、酒肴酒、文学的交遊……19人の気鋭の執筆者が、最後の文士・吉田健一の新世界を乱反射。
《目次》
序文  川本直
【Ⅰ.文明】
宗教と世俗の歴史から見た人新世の吉田健一  伊達聖伸
ヨオロッパの世紀末  佐藤亜紀 
【Ⅱ.言葉】
Queerly Native——奇妙にぺらぺら  大野露井
静寂と響き——吉田健一に教へられた詩の世界  高遠弘美
【Ⅲ.近代】
吉田健一と近代  渡邊利道
モダニズムの忘れもの  樫原辰郎
【Ⅳ.酒肴酒】
吉田健一と「飲む場所」——現実と夢幻を巡って  堀田隆大
淡いを愛する  山﨑修平
【Ⅴ.文学】
〈芸術家としての批評家〉の誕生——『英国の文学』と『英国の近代文学』を読む  武田将明                    
吉田健一と「社交」——G・L・ディキンソン、ヴァージニア・ウルフ、E・M・フォースター  小川公代                   
大海蛇のうねり  小山太一
小説家としての吉田健一  川本直
【Ⅵ.文学的交遊録】
石川淳吉田健一——酒の友であり文学の友  渡邊利道
小林秀雄吉田健一——正面から来る近代と己に内在する近代  渡辺祐
福田恆存吉田健一——『日本に就て』を肴に  浜崎洋介
三島由紀夫吉田健一——「絶交」物語再考  山中剛史
澁澤龍彦吉田健一——それぞれの島宇宙で  中西恭子
【Ⅶ.吉田健一頌】
ソネット  大塚健太郎
英国人の見た吉田健一  礒崎純一
回想の中の吉田健一  富士川義之
あとがき  武田将明

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trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp
 また、今年も、京都大学レジリエンス・フェスティバル2023が11月11日に開かれます。是非、足を運んでいただければ...と言いたいところだったんですが、ここで私からのお詫びがございます。
 というのも、先日、関係者からの連絡で、まさかのレジリエンス・フェスと表現者塾のダブルブッキングの事実が発覚しました(汗)。フェスの相談を受けた際、スケジュール管理しているカレンダーに何も書き込みがなかったので、そのまま京大レジリエンス・フェスの予定を入れてしまっていたんですが、よくよく考えると、そこは表現者塾の日。私が、先々までの「表現者塾の予定(第二土曜日の予定)」を記入していなかったのが、今回の失態の原因です。塾生の皆さんに迷惑をかけしまったこと、後日、改めてお詫びを申し上げたいと思っていますが、まずは、この場を借りて、謝罪させていただければと思います。誠に申し訳ありませんでした。
 幸い、11月の表現者塾の司会の方は、『クライテリオン』顧問である富岡幸一郎先生にお引き受けいただくことができましたが、今後は、このようなことがないよう、改めて気を引き締めて参りたいと思います。引き続き、何卒よろしくお願いいたします。