批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

富岡幸一郎先生との対談本『封印された大東亜戦争の真実 日本人はなぜ、何のために戦ったのか?』(経営科学出版)と、『西尾幹二全集—第21巻B』(国書刊行会)と、「もぎせかチャンネル」!


 まだAmazonなんかには入っていないようですが(後日、出荷するようです)、富岡幸一郎先生(文藝評論家・関東学院大学)との対談本『封印された大東亜戦争の真実 日本人はなぜ、何のために戦ったのか?』(経営科学出版)が刊行されました。100頁に満たない薄い本ですが、その分、近代史理解に欠かせない様々なエッセンスを詰め込んでいます(笑)。
 話題の方は『ぼんやりとした不安の近代日本』(ビジネス社)とも重なっていますが、目次を以下に示しておきます。

・鈍化する日本人の「感性」
・「あなた任せの生き方」とロシア
・「切断」と「持続」
・故郷ならざる故郷
・戦前を振り返ることは戦争賛美ではない
三島由紀夫二・二六事件
大東亜戦争に至る必然的必然
・近代化によって「引き裂かれた自己」
・日本近代史における日本共産党
昭和10年の文学者たち
大江健三郎をどう見るか
・近代日本とは何だったのか
江藤淳が見た、勝、西郷、三島

 目次を見てもらえば分かると思いますが、主題の広さのみならず対談ならではのリーダブルさもあると思います。今のところ、株式会社経営科学出版さんの方に問い合わせるしか手に入れる方法はないのかもしれませんが…(Amazonなどに出品され次第、もう一度告知したいと思います)、手に取って頂ければ幸いです。

 あと、『西尾幹二全集・第21巻B』(国書刊行会)が刊行されましたが、その「月報」の方に、「『原理なき日本』の原理への挑戦」という簡単な西尾幹二論を寄せています。それにしても、この時代に、これだけ浩瀚な個人全集を、しかも生前に出せるというのはほとんど奇蹟に近い事業だと思います。機会があれば、手に取っていただければ幸いです。


www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
 最後になりましたが、先日、茂木誠さん(作家・予備校講師)の「もぎせかチャンネル」に出させていただきました。出演は、今回で二回目になりますが、主題の方も「文芸」寄りから、だんだん「保守思想」寄りなものに傾いています。動画の方はアップされ次第、全部ここに載せようと思っています。
 それにしても、これくらいリラックスした「対話」が一番いいですね(笑)。何らかの「情報」を伝えることに何の意味も見出せない自分は、つくづくそう思います。
 そもそも「情報」なんて自分で調べりゃ済む話だし、その「情報」の精度を見極めるには、まず「自分の経験に照らして虚心に考える力」が前提となります。最近は「君たちは騙されている! 覚醒せよ日本人!」みたいなことを言う人が多いですが、私に言わせれば「30も過ぎて〈情報〉程度のものに騙されている方がおかしいわけで、もう手遅れじゃないのか」というのが正直なところです。戦後日本人を見れば分かるように、「そもそも何も考えてこなかったから騙されているんだし、一度騙された奴は、また騙される」というのが常識でしょう。つまり、「教育と啓蒙」は、例外はあるとしても、基本的に20代までしか意味がないということです。
 …と、相当辛辣なことを書きましたが(笑)、しかし、「情報」ではなく「態度」のバイブレーション——つまり、自分の経験に照らして虚心に考えるという姿勢(情熱)——を伝えることには意味があると思っています。逆に言えば、信用できるのはそれだけだということです。思わず、長々と書いてしまいましたが、ご興味があれば是非。