批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

福田逸氏の『父・福田恆存』(文春学藝ライブラリー)の「解説」を書かせていただきました。

 名著である福田逸氏の『父・福田恆存』が、ついに文春学藝ライブラリーに入りました! 
 それ自体非常にめでたいことなんですが、さらにありがたいことに「解説」の筆を私が執らせていただいています。心を込めて書きました。是非、手に取って頂ければと思います。ここで更に「解説」を書くと、屋上屋を架すことになってしまうので(笑)、多くは語りません。が、冒頭にも記したように、一人の人間が一人の人間と深くかつ真剣に関係することの宿命――その信頼と葛藤、喜びと悲しみ、愛と憎しみ――を描いた、この『父・福田恆存』は紛れもなく名著です。
 追伸―あとで、調べたら「解説」だけだったら稀代の文学者を父に持ち葛藤を抱えた子 亡き父に向けて書く、長い長い「手紙」 『父・福田恆存』(福田 逸) | 書評 - 本の話の方で読めるようですね。是非、一読よろしくお願いします。

 以下は、単行本刊行時の概要説明と、今回の文庫本の宣伝文です。少しでも参考になればと思って、ここに掲げておきます。末永く読み継がれる本になることを祈念しております。

単行本の宣伝文

“父殺し”に至る親子の葛藤とは—— 没後二十余年、初公開資料で大岡昇平吉田健一三島由紀夫ら 「鉢木會」の交わりから、晩年の父子の軋轢までを率直に描ききった追想録。 大岡昇平との和解。終生信頼した中村光夫。 チャタレイ裁判を吉田健一と弁じ、三島由紀夫天皇論を交わした父に忍び寄る老い。 そして、親子の長く苦しい葛藤——初めて明かされる晩年の日々

文庫本の宣伝文

〈戦後言論界の巨人、知られざる素顔〉
「友達のやうな親子ですなぁ」――
評論、劇作、翻訳など多岐にわたって活躍した父・福田恆存
父と何でも語り、仲が良かった次男である著者は、父の影響で同じ演劇の道に進む。
やがて、病に倒れ、老いゆく父と、劇団経営をめぐって対立するようになる。
父の名を穢したくないと悩み、また父のことを最も理解しているのは自分だという自負と傲慢さから、ついに父に引導を渡す。確執の日々を経て、最期のときを迎えた父が、著者に遺した言葉は――。


遺された手紙や手記を紐解き、また記憶を引き寄せるとき、在りし日の父の姿が浮かび上がる。
「鉢木會」での大岡昇平中村光夫吉田健一三島由紀夫らとの交友、家族への情愛、長く苦しい父子の葛藤を、懐古と悔恨を込めて描く追想記。


「本書は、福田恆存という特異な文学者を父に持った息子による一世一代の文芸評論、そう言って大袈裟に聞こえるなら、人が一生に一度きりしか書けない、亡き父に向けた、長い長い「手紙」である。」 ――文芸評論家・浜崎洋介氏「解説」より