批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

文春ウェビナー「日本人にとって村上春樹とは何か」(與那覇潤氏×浜崎)

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 先日、久しぶりに與那覇さんと文春ウェビナーの対談をやってきました。今回の企画は與那覇さんから頂いたものだったんですが、お題は「日本人にとって村上春樹とは何か」。今年の4月に出された『街とその不確かな壁』をめぐって、初期春樹から現在の春樹への移り変わりと、その意味みたいなものについて語っています。
 ご存じの方もいるかと思いますが、今回の春樹の小説は、実はデビュー2年目にして春樹が書いた「街と、その不確かな壁」(1980年)を元にしたリライト長編小説。しかも、初稿自体は、その出来に納得できなかった春樹によって長らく封印されながら、その主題自体は後に『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で反復され、さらに今回、40年の歳月を経て、改めて650頁以上の長編書下ろし小説になった…という、なかなか興味深い文脈を持っています。
 というわけで、言いたいことは一杯あるんですが(笑)、キリがなくなるので、ご興味のある方は動画を見ていただければと思います。 
 物凄い傑作かといわれれば頷きにくいですが(笑)、しかし、駄作とも言い切れないところがあります。私自身、まさか大学の授業以外で村上春樹を扱う機会が巡って来るとは思っていませんでしたが、今回の仕事によって春樹の「晩熟」を感じられた点は収穫でした。改めて、與那覇さん、ありがとうございました!