- 作者:ミシェル・ウエルベック
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2019/09/26
- メディア: 単行本
共同通信用のコラムとして、ミッシェル・ウエルベック『セロトニン』(関口涼子訳、河出書房新社)について短い書評を書きました。
前作『服従』には圧倒されましたが、今作『セロトニン』も見逃せません。これを読むと「さすがは世界文学!」と言いたくなりますが、逆に言えば、日本の最大の問題はこういう作家・作品が出てこないことだと言えるのかもしれません。どんなにネオリベ=グローバリズムで疲弊しているのだと言っても、アメリカには映画『ジョーカー』を作り上げるだけの力が残されているし、EU体制がいかに不条理なのだと言っても、フランスには、まだウエルベックがベストセラーになるだけの危機感があるのです(それに比べて、日本では百田尚樹その他がベストセラーになってしまうのです…嗚呼!)。
文学関係の仕事としては、今年を締めくくるに相応しい仕事になったと思います(まだ、『毎日』のコラムや、『クライテリオン』のメルマガはありますが)。丁度一年前も、大江健三郎の『万延元年のフットボール』について共同通信に書かせていただきましたが、考えてみれば、今年も瀬木さんとの仕事が最後になるんですね(人生で初めて原稿料を貰ったのも共同通信の書評でした…笑)。改めて、瀬木さんには感謝です。ありがとうございました!