批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『三島由紀夫:なぜ、死んでみせねばならなかったのか (シリーズ・戦後思想のエッセンス) 』(NHK出版)の刊行、『表現者クライテリオン』最新号、毎日コラムなどのお知らせ

 最近、ブログ更新の時間がなくて、一挙の告知になってしまいますがお付き合いください(今も、色々と追われていて、このブログも新幹線の中で更新しています…汗)。

 最初は、久しぶりの単著刊行の告知です。私個人としては、決して没後五十周年を意識していたわけではないのですが(ただ、もちろん出版社側は意識していたと思いますが―笑)、この度、三島由紀夫論を出します。これは、「余計なものを全部削ぎ落して『エッセンス』だけを凝縮して書いた本(≒入門書)」です。が、それと同時に「正攻法での文芸批評」(読むことに忠実な批評!)を目ざして書きました。
 長年、三島由紀夫に対しては「引っかかるもの」があったのですが、それに決着をつける思いで取り組みました。結果、自分では「書けた」という手応えがあります……が、後は読者の皆さんの評価を待つほかありません。多くは語りません。何卒、よろしくお願いいたします!
 以下は、担当の倉園さんが丁寧に纏めてくれた要約です。

ノーベル賞候補だった日本社会のスーパースターは一九七〇年、自衛隊に乗り込んで派手な自決を遂げる。この事件のもつ意味を、どうすれば理解できるのか?その最大の鍵は、自伝的作品『太陽と鉄』にあった。「これがわかれば、僕のやっていることが全部わかる」と三島自身が評した本作に基づいて、本書は、「言葉」と「現実」の関係の必然的な展開として、作風の変遷と作家の「思想」の構造を精確に描き出す。衝撃の「三島事件」から半世紀後にようやく登場した、気鋭の批評家による簡明かつ本格的な三島由紀夫論。

表現者クライテリオン 2020年11月号

表現者クライテリオン 2020年11月号

  • 発売日: 2020/10/16
  • メディア: 雑誌
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 次に、クライテリオンの最新号(+編集長メッセージ)と「緊急シンポ!―『大阪都構想』の真実 〜大阪都構想で日本は没落する」(藤井聡・森裕之・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎/表現者クライテリオン主催)の動画です(雑誌対談の方は落ち着いていますが、動画の方は、会場の熱気にほだされて大分激していますね……汗)
 大袈裟でも何でもなく、私は「大阪都構想(と言う名の詐欺行為)」の行方が、今後の日本の運命を左右することになるだろうと考えています。なぜそう思うのかについては、雑誌及び動画を見て確認していただくほかありませんが、住民投票まで残すところあと一週間、少しでも多くの大阪市民、そして日本国民のみなさんに「真実」を知っていただければと思っています。
 こちらの方も、何卒よろしくお願いいたします! 以下は、クライテリオン最新刊の目次です。

巻頭言

 「大阪を都にする」「大阪都を実現する」ための構想と思われがちな大阪都構想――
しかしその内実は単に大阪市という政令指定都市を廃止し、「大阪市民」の財源と権限の
一部を大阪府に譲渡し、かつ4分割するというもの。
 いわば、大阪市という会社を潰して分社化して親会社である大阪府に組み入れるかのような構想
が都構想なのだが、それにも関わらず推進派の一貫した「イメージ戦略」によってまさに今、
可決されんとしている。
 本誌は、この構想は大阪市民の自滅を導くのみならず、全国民に深刻な被害をもたらす事を
警告せんがためにここに特集「『大阪都構想』で日本は没落する」を編纂した。都構想の実現は
第一に大阪の衰退を導く事を通して、第二にデマゴーグのみで直接投票を勝ち抜かんとする
民主政治の本格的劣化を通して確実に日本の没落を導く――この認識を明確かつ高らかに公の中で
論じ尽くすことが、住民投票の結果如何に関わらず、この没落から逃れ得る唯一の道なのである。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

目次
特集 「大阪都構想」で日本は没落する――アフター・コロナの民主政治
【特集座談会】
「改革主義」は地方から乗り超えよ――戦後政治の転換点/室伏謙一×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
民主主義のジレンマ――「正しきを主張」するか「長いものに巻かれる」か/柳本 顕×北野妙子×川嶋広稔×藤井 聡

【特集対談】
都構想を巡る言論戦は「日本の民主主義」を守る戦いである/山本太郎×藤井 聡
日本の民主政治を糺す/石破 茂×藤井 聡

【特集論考】
大阪都〉構想は机上の空論だ――財政効果と経済効果からみて/薬師院仁志
大阪都構想」による大都市自治の破壊――アキレス腱としての財政問題/森 裕之
「都構想」をめぐるパワーゲーム――市民不在の政治劇を斬る/冨田宏治
「悪名は無名に勝る」は地獄の一丁目/辻田真佐憲
新たな「特別区設置協定書」を読み解く――「公明四条件」は絵に描いた餅である/大阪の自治を考える研究会
「首長ポピュリズム」の時代――日本のポピュリストはなぜ新自由主義者なのか/吉田 徹

【新連載】
移動の文学(第一回)計算尺【クライテリオン】を探して――ジョン・オカダ『ノーノー・ボーイ』を読む/仁平千香子

【連載】
南無阿弥陀仏の世界/大石久和(「危機感のない日本」の危機)
コロナ・ショックと食料自給――国産の食材こそ本当は安い/鈴木宣弘(農は国の本なり)
デフレ脱却はなぜ道半ばに終わったのか/服部茂幸(アベノミクスの失敗)
三島由紀夫の没後半世紀に/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー
保守派Ⅱ――防御的リアリズムと攻撃的リアリズム/伊藤貫(国際政治学パラダイム
伝統のラディカリズム/柴山桂太(「常識【コモンセンス】」を考える)
身体感覚の統合――テレワークやオンライン授業に欠けているもの/川端祐一郎(思想と科学の間で)
マンガと日本人の景色――言葉から考える⑤/施 光恒(やわらか日本文化論)
メディアの「反差別」が助長する差別と分断/松林 薫(逆張りのメディア論)
務めを果たさぬ日本人/磯邉精僊(自衛官とは何者か)
家康の隠居の謎――陸の防御都市、海の攻撃都市/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
「世界主義」を克服し、「国益」重視の外交を展開せよ/ブルーノ=ゴルニッシュ国民連合・前全国代表(前半)聞き手:及川健二(フランス保守論客インタビュー)
メディア出演瓦版/平坂純一
編集長クライテリア日記――令和二年七月~九月/藤井聡

【寄稿】
「ろくでもない、なればこそ」/谷川岳

【書評】
『新・政の哲学』藤井 聡 著/篠崎奏平
『大洪水の後で 現代文学三十年』井口時男 著/薄井大澄
『詩としての哲学 ニーチェハイデッガー・ローティ』冨田恭彦 著/酒井佑陶

【その他】
「絶望」から始めよう――菅義偉新政権誕生に際して / 共同体と党派性――健全な民主政治の条件(鳥兜)
「中小つぶし」など論外 / 『大衆の反逆』の新しさ――現代日本のための警鐘(保守放談)
読者からの手紙

 で、最後に毎日新聞に書いた、例の「学術会議問題」についての私のコラム「内容と形式」です。もちろん、維新(橋本・松井両氏)と菅義偉首相は近い関係にあるわけですが、ここが日本の正念場です。何卒、よろしくお願いいたします!
mainichi.jp