批評の手帖

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西部邁先生追悼― 『新潮』と共同通信配信記事にて

新潮 2018年 03月号

新潮 2018年 03月号


 先般、1月21日、西部邁先生が永眠されました。私が先生とお附き合いしたのは晩年の5年間にしか過ぎませんが、それでも、それは本当に濃密な5年間でした。駆け出しの私に、先生は、この世界での振る舞い方、覚悟のあり方、その姿勢を教えてくれました。ときには叱られたこともありますが(「羨ましさ」も込めて言えば、それでも『発言者』時代から付き合われてきた藤井先生や柴山さんや川端さんに比べれば、その「叱られかた」も大したものではなかった―「注意」程度のものだった―のかもしれませんが)、いずれにせよ、この5年間の付き合いによって私は、「物書き」としての基本的な心構えを造ることができました。
 ここで多くを語るつもりはありませんが、短い追悼文「全力を尽くした『人間交際』」を共同通信の配信記事として、長めの追悼文「『虚無』への抵抗」を『新潮』の文章として、心を込めて書きました。ほぼ同時に書いたものなので、重なる部分もありますが、一読していただければ幸いです。

 追悼文は、もう、この二つでお終いにするつもりですが、その他の追悼座談会、ノンフィクション記事、西部邁論、あるいは西部邁追悼臨時増刊号の編集などは、これから先も積極的にこなしていくつもりです(というより、まだ未発表な原稿も含めて、西部邁関連の仕事は山積しております)。
 今は、ただ、西部先生が残してくれた『表現者』という「自由」な場所を是が非でも守り切ること、それが私の使命(恩返し)だと思っています。第二期『表現者Criterion』も間もなくの創刊です。何卒、よろしくお願いいたします。