批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『表現者』(5月号72号)に「『自然』に寄せて―グローバリズムの終焉と『啓蒙の自己崩壊』」を寄稿しました。

 「『自然』に寄せて―グローバリズムの終焉と『啓蒙の自己崩壊』」を寄稿した『表現者』(5月号)が昨日自宅に届きました。今回は「世界破壊に乗り出した米中露」という特集の原稿です。
 日々、世界は物凄いスピードで「崩壊」と「危機」を体現しつつあるように見えますが、それにしても、そんな世界の現状と、森友学園問題や小池知事の豊洲問題程度のことでざわついている「のどかな日本」との落差には唖然とさせられるものがあります。この度は、そんな「危機」の様相を見つめつつ、それを「啓蒙の自己崩壊」(アドルノ+ホルクハイマー『啓蒙の弁証法』)という視座から見返した内容になっています。つまり、90年代以降の〈帝国=新自由主義=グローバリゼーション〉の過程を、一つの「啓蒙」の過程として捉え直し、それが「外的自然」(物質)のみならず「内的自然」(文化)までをも「同一化」しようとしたことによって、逆に〈非同一的なるもの=自然〉の暴力を呼び出してしまったのではないかということです。実際、『啓蒙の弁証法』自体が、19世紀末から始まる「第一次グローバリズム」(ダニ・ロドリック、柴山桂太)と、それへの反動であるナチスドイツの両方を向こうに回して、その「危機」の由来を考えて書かれたと言う経緯があります。先日、神戸大学で催された「人文学と批評の使命Ⅰ」の発表とも一部重なる内容ですが、一読していただければ幸いです。

 また、しつこいようですが、『表現者』後援の「澤村・浜崎スコレー」(今月21日)の方も、あと数人で席が埋まる模様です。そちらの方も、どうぞよろしくお願い致します。