批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『表現者』(2015年7月号―61号)に「『沖縄問題』とは果たして問題なのか―その「偽善と感傷」の姿」を寄稿しました。

 昨日、「『沖縄問題』とは果たして問題なのか―その「偽善と感傷」の姿」を寄稿した『表現者』(2015年7月号―61号)が自宅に届きました。
 私自身は沖縄との直接的な関係は薄いのですが、日々報道される「沖縄問題」に対しては常々疑わしいと思ってきました。この度は、そんな「沖縄問題」に対する疑義を直截に言葉にしています。また、その延長線上で、戦後日本と沖縄に対して厳しいことも書いています。一読して頂ければ幸いです。

 ちなみに、私なんかの「床屋政談」は措いても、井口時男連載の「蓮田善明の戦争と文学―第二回 一応召―玉井伍長と蓮田少尉」は快挙だと思います。まず、ほとんどまともな蓮田善明論がないなかで(「蓮田善明」という固有名は、「保田與重郎」という固有名よりも戦後日本では禁忌だったのです)、一流の文芸批評家が蓮田善明を扱うとどうなるのかということを示した見本のような文章です。ハッキリ言って、この蓮田論の連載を読むだけでも『表現者』は買う価値ありです。
 ただし、このレベルの蓮田論が、まともな文芸誌には掲載されず『表現者』に連載されているということ自体が、いかに文芸業界が死んでいるのかということを物語っています。最近、「小説」に全く興奮しない私が、なぜ井口時男の言葉にこれほどまでに興奮できるのか。文学において、「小説の時代」など、もう、とっくの昔に終わっているのだということを改めて確認させられた気持ちです。