批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『表現者クライテリオン』最新号(2020年3月号)が発売になりました!

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 少し告知が遅れてしまいましたが、『表現者クライテリオン』最新号(2020年3月号)が刊行されました!
 今回の特集は、「『ウソ』で自滅する国家―安倍・トランプ・文在寅」となっています。詳しくは、藤井編集長の動画メッセージをご覧いただければと思いますが、座談会にお呼びした会田弘継さんや、堀茂樹さんをはじめ、伊藤貫さん、薬師院仁志さん、李相哲さん、適菜収さん、藤原昌樹さん、田村秀男さん、佐藤健志さん、そして、編集委員の川端さんと私などで、ポスト・トゥルースが囁かれる現代の病理を徹底的に議論しています。国内の「ウソ」だけでも、片山さつき議員のウソから、維新による大阪都構想のウソ、小池百合子東京都知事による豊洲の土壌汚染のウソ、安倍晋三政権による公文書改竄・廃棄、そして月例経済報告のウソまで、数え上げれば切りがない状態になっていますが、なぜこんなことになってしまったのか……それを読者の皆さんと考えることができればと思っています。「安倍・トランプ・文在寅」を串刺しにできるのは『表現者クライテリオン』くらいのものだろうと自負していますが(笑)、そんな議論も、皆さんからの支持によってのみ支えられています。定期購読を含め、是非、お買い求めいただければ幸いです。

 私自身の仕事としては、今月号から短期連載が始まる「養老孟司、常識を語る」のインタヴィュアーとして箱根の養老山荘を訪ねたり、特集原稿として「『高貴なる生』に向けて―ポスト・トゥルースニーチェオルテガ」などを寄稿していますが、それに加えて今号では、編集部恒例の「表現者賞・奨励賞」の選考などもしています。
 今年度の受賞者(奨励賞)は、仁平千香子さん(山口大学)の「村上春樹を通して考える『物語の力』とクライテリオンのない日本」です。仁平さんの投稿をいただけたときは、私としても「対米従属文学論」の連載をやっていて本当に良かったと思えた瞬間でした(笑)。
 ともすると、繊細な観察(文学)に淫するか、剛毅な決断(政治)に興奮するばかりの日本人ですが、三島由紀夫風に言えば、やはり「文武両道」あっての「常識」でしょう。その意味で言えば、言論誌に「文学論」が載るか載らないかは決定的だと思います。仁平さんのこれからに期待したいと思います。
 以下は、『表現者クライテリオン』最新号の目次となります。ご参照いただければと思います。

編集部からの一言
安倍内閣は「消費増税対策に万全を期す」と叫びながら消費増税を断行し、「アベショック」と言い得る激しい経済低迷を導いているにも拘わらず、「景気は緩やかな回復基調にある」と公言し続けている。現内閣は今「桜を見る会」での各種のウソが批判されてはいるが、この経済に関するウソによる国民的被害は遥かに甚大だ。あるいはアメリカのトランプ大統領は993日で13435回の「ウソ」をついたと報告(ワシントンポスト紙)されているし、韓国のムンジェインもまた「南北統一」なる現実味の無い大風呂敷を広げることを通して、ますます国際的な孤立を深めている。すなわち今、「民主主義国家」と呼ばれる国家のリーダー達が、幼稚な「ウソ」を積み重ね、それを通して自滅への道をひた走っている。「危機と対峙する」ことを旨とする本誌表現者クライテリオンでは、こうしたリーダー達のあからさまなウソとそのウソを是認する社会の有り様を様々な角度から立体的に批評することとした。
表現者クライテリオン編集長 藤井聡


目次

【座談会】
臆病者の国、日本は、世界から侮蔑される(後編)/伊藤貫(国際政治・米国金融アナリスト)×藤井聡京都大学大学院教授、クライテリオン編集長)


【新連載インタビュー】
養老孟司、常識を語る(第1回)――肥大化するシステムと、崩れ行く世間/聞き手:浜崎洋介

【特集】
溶解するナショナリズム、幼児化する民主主義/会田弘継×堀茂樹×藤井聡
「高貴なる生」に向けて ポスト・トゥルースニーチェオルテガ浜崎洋介
緩んだ空気に抗して/川端祐一郎
嘘の中の現実 ポピュリズム勢力の台頭と政治の虚構化/薬師院仁志
滅びゆく国家の肖像/文在寅のごまかし政治の行く末/李相哲
バカで卑劣で腐り果てた有権者/適菜収
「沖縄の基地問題」にまつわる嘘話/藤原昌樹
貧乏神がささやく景気堅調の嘘/田村秀男(アベノミクスの失敗)
嘘と夢のはざまで/佐藤健志(一言一会)

【緊急寄稿】
ますます悪化していくアメリカの中東政策/伊藤貫

【連載】
「危機感のない日本」の危機 国土認識の危機/大石久和
時がつくる場所 第十一回(最終回) 歴史なき自由が生んだ「コモンズの悲劇」/松原隆一郎
世界の農村を支える小農と家族農業への国際的注目――日米FTA以後の方向性を考える/松平尚也(農は国の本なり)
日欧が手を組み、アメリカへの従属を脱しよう(フランス保守論客インタビュー ブルーノ=メグレ元共和国運動党首 後半)/聞き手:及川健二
観念と肉体――埴谷雄高『死霊』の衝撃力(2)/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー
伊達政宗の仙台――三・一一の仙台市民を助けた/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
愛し得ぬ人々/磯邉精僊(問ひ質したきことども)
「スポーツの日」が招く忘却――言葉から考える(2)/施光恒(やわらか日本文化論)
君、財政出動することなかれ/佐藤健志(だからこの世は宇宙のジョーク)
移動の自由がもたらす「リベラル・ディストピア」 「移動せずともよい社会」を目指して(一)コスモポリタニズム批判(二)/白川俊介(ナショナリズム再考)
報道とは死ぬことと見つけたり/松林薫(逆張りのメディア論)
メディア出演瓦版/平坂純一
編集長クライテリア日記/藤井聡
思想の転換点――平成から令和へ 第4回 リアルポリティクス(後半) 経済・財政政策の転換点/小沢一郎×宮崎哲弥×藤井聡

【寄稿】
唱歌教育にみる日本文化の連続性/佐藤慶

【書評】
『歴史がおわるまえに』與那覇潤 著/岡﨑祐貴
『7つの階級 英国階級調査報告』マイク・サヴィジ 著/田中孝太郎
『英国議会「自由な解散」神話――解釈主義政治学からの一元型議院内閣制論批判』小堀眞裕 著/酒井佑陶
精神科医が教える聴く技術』高橋和巳 著/篠崎奏平

【その他】
平成三十一年度・令和元年度 表現者賞・奨励賞発表
臨界を突破した安倍政権の「嘘」――「悪魔」に憑かれはじめた日本人(鳥兜)
市民感覚」は正義や真理の拠りどころたり得るか(鳥兜)
パンデミックの必然(保守放談)
片山さつき議員の「嘘」(保守放談)
読者からの手紙(投稿)