批評の手帖

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チャンネル桜・討論「2021年 日本の出来事大賞」に出てきました。

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 昨夜、チャンネル桜さんの討論に出てきました。また、だんだんお座敷がかかる頻度が多くなってきているので、本業が疎かにならない様に注意しなきゃなと思っていますが(笑)、お題は「2021年 日本の出来事大賞」。なかなか、珍しい特集ですが、「政治・社会問題・文化・スポーツ等々、様々な分野から、日本の現在を象徴すると思われる出来事」を拾って討論せよとのことだったので、私自身は、「2021年・東京オリンピック」を取り上げました。
 緊急事態宣言中(国民に自粛を強いながら)のオリンピック開催という「筋の通らなさ」も酷いものでしたが、それ以上に、開催に至るまでの「グズグズの組織崩壊」ぶりこそは、まさしく、今の日本を象徴している出来事だったなと。
 ①着工が始まってからの国立競技場の設計案の変更、②盗用疑惑による公式エンブレムの変更、③安倍元首相のスーパーマリオ、④理由なき統括チーム(MIKIKO)の排除と、⑤電通的=広告的なるものへの権力集中。そして、にも拘らずの数々のスキャンダル噴出と、それに伴う辞任劇――⑥組織委員会会長の森喜朗氏の辞任をはじめ、⑦統括の佐々木宏氏(電通出身)の辞任、⑧音楽制作メンバーの小山田圭吾氏の辞任、⑨ショーディレクターの小林賢太郎氏の辞任――。
 さらに極めつけは、⑩佐々木氏の後任である統括責任者=日置貴之氏(博報堂出身)の意味不明すぎるオリンピックの「理念」。
 日置氏は言います。

共通コンセプトは「Moving Forward(ムービング フォワード)」、五輪開会式は「United Emotion(ユナイテッド エモーション)」、五輪閉会式は「Worlds we share(ワールズ ウィ シェア)」。「コンセプトの日本語は用意していない。世界に分かってもらいたいということで英語のみになった」。「この状況での五輪。人によっては反対する人もいる。バラバラになった状況だ。大会の基本コンセプトに『ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と調和)』とある。この時代に『国民は』とか『世の中の人々は』という表現は完全な時代遅れだ。国民って誰? 人々って誰? という時代。その人々とは日本人のこと? ということ。これを多様にイメージしていく。受け手の気持ちになって考えることが唯一、コミュニケーションの今後のあり方だ。それを考え開閉会式をつくってきた」(日刊スポーツ・インタビュー)

 読んでいて心底背筋が凍ります。…ここまで無責任かつ軽薄な言葉はそうそうありませんが、こういう軽佻浮薄な人間をオリンピックのトップに据えてしまえるというのが(竹中平蔵を、未だに政府会議で使っているのと同じように)、今の日本なんでしょう。
 オリンピックというイベントは、良くも悪くも国家挙げての「お祭り」なわけですが、これが国家挙げての「戦争」だったら、言うまでもなく戦う前からの圧倒的な敗北です。いや、つくづく溶解してしまったんでしょう……何もかも……。
 討論のなかでは、その他、中間共同体論や、天皇論なども話しています。考えれば考えるほど、日々暗くなるニュースしかありませんが、もし、それでも付き合ってみようという奇特な方がおられましたら、よろしくお願いいたします。