批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『崩壊した「中国システム」とEUシステム』(萩野文隆氏編・藤原書店)に、「ヨーロッパのニヒリズム、あるいはEUの思想的『自死』」という文章を寄稿しました。

崩壊した「中国システム」とEUシステム 〔主権・民主主義・健全な経済政策〕

崩壊した「中国システム」とEUシステム 〔主権・民主主義・健全な経済政策〕

 昨日、「ヨーロッパのニヒリズム、あるいはEUの思想的『自死』」という文章を寄稿した『崩壊した「中国システム」とEUシステムー主権・民主主義・健全な経済政策』(萩野文隆氏編集、藤原書店)が自宅に届きました。
 拙稿では、アドルノ+ホルクハイマーの『啓蒙の弁証法』やダグラス・マレー『西洋の自死』を導入にして、ウエルベックの『服従』を論じ、そこからEU=ヨーロッパの過去と未来について「文学的視点」から考えています。目次を見ると、いつもの『表現者』関係の執筆陣に加えて、小沢一郎氏や山本太郎氏などの名も見えますが、文芸批評をやってきた自分が、まさか小沢氏や山本氏(などの政治家たち)と共著を出す日が来ようとは…という感じです(笑)。一読していただければ幸いです。
 以下は、目次と、出版社からのコメントです。よろしくお願いいたします。

内容紹介
デフレから脱却し、主権と民主主義を取り戻すために!!
EU/ユーロ体制下で経済活性と民主主義を喪失するフランスと、緊縮財政・消費増税による長期デフレ下で格差や貧困に苦しみながら、拡大する「中国システム」に巻き込まれ、いよいよ迷走する日本。健全な経済と政治のために、東西の知が結集!!


崩壊した「中国システム」とEUシステム――序にかえて
荻野文隆


第Ⅰ部主権と民主主義を奪回するために――フランスと日本の比較
1〈インタビュー〉フランスのEU離脱と日本への提言―フランソワ・アスリノ /聞き手=荻野文隆
2〈講演〉日本のデフレ脱却への道――日本のデフレ20年とEUユーロ・システム下二〇年のフランス 1998~――荻野文隆
3〈講演〉ヨーロッパの多様性――EU・ユーロ体制の現状と展望―F・アスリノ
4〈講演〉アベノミクスはデフレからの脱出口を見つけるか? ―田村秀男
5〈対談〉なぜ緊縮財政はいけないか――?日仏共通の課題―F・アスリノ/田村秀男


第Ⅱ部日仏のデフレ化政策と闘う
1〈対談〉デフレ化政策と闘う民主主義ーF・アスリノ/藤井 聡
2国民国家の底力――GDPシェアから見る日米欧の未来―藤井 聡(京都大学大学院教授)
3財政出動への方向転換を! ―安藤 裕(自由民主党衆議院議員)
4なぜ、右も左も新自由主義なのか―中野剛志(評論家・政治思想)
5グローバリズムの制約を超えて―柴山桂太(京都大学准教授)
6ヨーロッパのニヒリズム、あるいはEUの思想的「自死」―浜崎洋介(文芸評論家)
7〈特別寄稿〉国家主権と国際協調――フランソワ・アスリノ氏との見解の一致―小沢一郎(衆議院議員)


第Ⅲ部日本とフランスの再生にむけて――日本の政治家との対話
1〈対談〉日仏の真の独立を求めて―山本太郎(れいわ新選組代表前参議院議員)+F・アスリノ
2〈対談〉ケインズを忘れたフランスと日本―大塚耕平(国民民主党参議院議員)+F・アスリノ
3〈対談〉EUを背後で操るアメリカー菅 直人(立憲民主党衆議院議員)+F・アスリノ
4〈対談〉増大する移民とユーロ禍―海江田万里(立憲民主党衆議院議員)+F・アスリノ
5フランソワ=アスリノ日本同行記―及川健二(日仏共同テレビ局France10日本支局長・政治哲学者)


第Ⅳ部フランスとドイツは消滅するか?
1〈対談〉EUユーロ・システム崩壊後のフランスの未来図―F・アスリノ/E・トッド
2〈討論〉EUユーロ・システム下のドイツの現状と未来―F・アスリノ/E・ユソン(ドイツ史)/C・ドローム(ジャーナリスト)/
D・ケイラ(経済学)/V・ブルソー(経済学)


結び荻野文隆


出版社からのコメント
米ソ冷戦の崩壊からほぼ30年を経た2019年、アメリカを軸とした地球規模でのグローバル化の時代を経験してきた世界は今や、大きな方向転換を開始している。
米ソ冷戦の終結のあと進行したグローバル化の時代が終わり、国民経済の強化とともに、国民社会の主権と民主主義の奪還のための新たな時代に向かおうとしている。
そんな文脈の中で、フランソワ・アスリノの過去12年に及ぶ「人民共和連合」の運動は、フランス並びにヨーロッパ統合の現状を理解する上で極めて的確な分析を提供してくれる。
さらには、緊縮財政と消費増税というデフレ化政策によって破壊されてきた日本社会が、未だにその負のスパイラルからの脱却が全く見通せない現状の構造を理解する上でも多くの示唆を与えてくれるものである。(荻野文隆)