批評の手帖

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『表現者クライテリオン』最新号(2020年1月号)が書店に並びます!

表現者クライテリオン (引き籠もるアメリカ、すがり付く日本)

表現者クライテリオン (引き籠もるアメリカ、すがり付く日本)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 啓文社書房
  • 発売日: 2019/12/16
  • メディア: 雑誌
 今日から、『表現者クライテリオン』の最新刊が書店に並び始めます。
 今回の特集は、題して「引き籠もるアメリカ、すがり付く日本―安倍外交の真の総括」。私自身も、〈占領解除後の作家=安岡章太郎〉の芥川賞受賞作品「陰気な愉しみ」をモチーフに「戦後的な心性」を考えた「戦後的な、あまりに戦後的な―『陰気な愉しみ』の腐臭」を寄稿しています。が、注目なのは、何といっても伊藤貫先生と藤井編集長の巻頭対談「臆病者の国、日本は、世界から侮蔑される」でしょう。私自身も、色々と勉強させていただきましたが、対談後半の「『負ける』って分かっていても、しつこく闘うんだ」という伊藤先生の言葉はつくづく身に沁みます。
 本を出して以来、物を書くことの「空しさ」は増大することはあっても減ることはありませんでした。が、まさに、そのなかで「黙って負けるより、闘ってから負ける」と言うためには、やはり「神を信じる」しかないんでしょう。もちろん、その「神」は特定宗教の神である必要はありません。が、いずれにせよ「自分より大きなもの」への「信」がなければ、到底「私の闘い」を支えることはできないのだということだけは確かだと思います。
 
 その他、私自身が力を入れた企画として「対米従属文学論・最終回:ポストモダンの頽落を超えて―高橋源一郎『さよなら、ギャングたち』と島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』」があります。『表現者クライテリオン』創刊から約2年、東京、京都、鹿児島、果ては与那国島にまで足をのばして議論してきた「対米従属文学論」ですが、ついに今回が最終回となります。ということで、今回ばかりは企画者の私もめいいっぱい話させて頂いています(ちなみに『さよなら、ギャングたち』解釈としては、新機軸を打ち出せたのではないかと思っています…今更ですが・笑)。是非、一読していただければ幸いです!(一点、誤植があります、誤「喜遊曲」→正「嬉遊曲」です…スミマセン)
 以下は、クライテリオン最新号の目次です。よろしくお願いいたします。

目次
【特集】
臆病者の国、日本は、世界から侮蔑される(前編)/伊藤貫・藤井聡
東アジアの「戦争」は始まっている/柴山桂太
戦後的な、あまりに戦後的な―「陰気な愉しみ」の腐臭/浜崎洋介
同盟のジレンマの中で―自律性の回復を国民に強く訴えよ/上島嘉郎
トランプ現象は終わらない/会田弘継
不義の子として生きて/磯邉精僊
農業ビジネスという世界戦争(その2)/堤 未果
日本に対米外交など期待するな/佐藤健志
【連載】
歴史理解の危機/大石久和
電柱倒壊と無電柱化推進法/松原隆一郎
対米従属文学論(最終回)「ポスト・モダン」の頽落を超えて:高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』、島田雅彦『優しいサヨクのための喜遊曲』/本誌編集部
フランス保守はマクロン政権、EUにどう向き合うのか/ブルーノ=メグレ・元共和国運動党首(インタビュー)
デフレ脱却の意図の「不在」をあからさまにした消費増税/藤井 聡(新連載「アベノミクスの失敗」)
埴谷雄高『死霊』の衝撃力(1)/富岡幸一郎
都市の命の水/竹村公太郎
ビスマルクの武断主義と避戦外交(4)/伊藤貫
言語に注目する理由―言葉から考える(1)/施 光恒
「耳栓保守」の負け惜しみ/佐藤健志
祖国の声を聴け―スポーツに「地元有利」をもたらすもの/川端祐一郎
母語環境の豊かさと善き生の構想の探求―コスモポリタニズム批判(一)/白川俊介
マスコミは「良い子」でいいのか/松林薫
メディア出演瓦版/平坂純一
編集長クライテリア日記/藤井聡
村上春樹を通して考える 「物語の力」とクライテリオンのない日本/仁平千香子
保守主義者ガダマー/酒井佑陶
ジョルジョ・アガンベン 著『オプス・デイ 任務の考古学』/篠崎奏平
セーレン・キルケゴール 著『新訳 不安の概念』/岡﨑祐貴
ダンビサ・モヨ 著『いまこそ経済成長を取り戻せ 崩壊の瀬戸際で経済学に何ができるか』/田中孝太郎
リアルポリティクス/小沢一郎宮崎哲弥・藤井 聡(連載座談会「思想の転換点――平成から令和へ」)

【その他】
(鳥兜)「失われた世代」を二度と作ってはならない
(鳥兜)暴走する緊縮、瓦解する日本
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