批評の手帖

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『正論』4月号に「日本の自死―暴走するリベラリズム」を寄稿しました。

 『正論』4月号に「日本の自死―暴走するリベラリズム」を寄稿しました。
 例のダグラス・マレー『西洋の自死―移民・アイデンティティイスラム』(東洋済新報社)を引き合いに出しながら、改めて日本の「移民政策」を批判した文章になっています。「移民政策」批判は、以前に毎日新聞のコラムでも書きましたし、『表現者クライテリオン』最新号でも特集していますが、今回の読みどころは、それを改めて思想的に纏め直した上で(分量としては過去最大の18枚くらい)、さらに「保守論壇」批判を展開しているあたりでしょうか。一節を引いておきましょう。
 「さらに絶望的なことは、この移民政策を押し留めるどころか、推し進めているのが、ほかならぬ保守派の安倍政権であるという事実である。にもかかわらず、この国の『保守論壇』は、未だに〈共産主義へのシンパ=左翼〉対〈資本主義陣営(アメリカ)の理解者=保守〉とでも言うような時代遅れの「冷戦脳」を引きずったまま、どうでもいいLGBT批判や反朝日キャンペーンにうつつを抜かし、その一方で、種子や水道や労働規制といった社会的共通資本やその制度を「交換」(カネ)に晒そうとしている安倍政権の過激なネオ・リベラリズム新自由主義政策)に眼を瞑り続けているのである。とすれば、この国の守るべき価値を見失っているのは、「リベラル」はもちろん(それはもはや敵でさえない)、「保守」も例外ではないと言うべきだろう。党派性に開き直るならともかく、取り返しのつかない形で、〈この国のあり方=私たちの生き方〉を変革しようとしている人間を支持する保守派の心性が私には分からない。・・・」と書いています。
 同じ誌面のなかで、文字通りの「朝日批判」や「安倍晋三首相の言葉」まで載せている『正論』が、よくこれを載せてくれたと思います。編集長に感謝です。