批評の手帖

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『表現者』(7月号・73号)に「『人生』を失わないために」を寄稿しました。

 昨日、「『人生』を失わないために」を寄稿した『表現者』(7月号・73号)が自宅に届きました。
 今回は「テクノマネーマニアックの時代に反乱は可能か」といった特集原稿ですが、それにしても現今のテクノマネーマニアックの資本主義文明は、本当にその「臨界状態」に達しているかのように見えます。それを示しているのが、現代日本における自殺者と精神疾患の異常な数です。「うつ」統合失調症」「愛着障害神経症)」「ひきこもり」「睡眠障害」などなど私の身の周りに限っただけでも、その具体例には事欠きません(しかも、それは今や若者に限らず、働き盛りの30、40代、あるいは比較的余裕のあるはずの大学人や教育者にまで広がっています)。
 これを経済的要因だけに還元することは出来ません。とすれば、何かが狂い始めているのは確かですが、今回の原稿では、その「狂気」の根源にあるものを、野暮を承知でデュルケム、マルクスブランケンブルクの知見を借りながら描き出しています。原稿の結句を繰り返せば、「人が人の「人生」を失わずに生きるというたったそれだけのことが、現代日本においては、どれだけ困難な営みになってしまったのかということ」を思い知らされる日々です…。