批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『TURNS』という雑誌に「他者、宿命、そして学び」というインタヴューが載ります。

TURNS (ターンズ) 43 [雑誌]

TURNS (ターンズ) 43 [雑誌]

 「他者、宿命、そして学び」というインタヴューが載った『TURNS』という雑誌が、昨日自宅に届きました。
 インタヴュアーは、公・私ともに付き合いのある文芸記者の瀬木広哉さんと、『TURNS』編集の三根かよこさん。多分、今までで一番いいインタヴュー記事になっています(笑)。自宅でのインタヴューということで、リラックスして話せたこともよかったのかもしれません。高校時代に「全く勉強しなかった」話から(笑)、大学での相川宏先生との出会い、そして、まさに今回の特集である「学び」の本質について思う存分に語っています。と同時に、それをまた本当に上手く瀬木さんが拾ってくれていて、分かり易い言葉に直してくれています。
 ほとんど、共著のレベルですが(笑)、多くの人に読んでいただきたい文章です。是非、一読よろしくお願いいたします!
 以下は、『TURNS』のHPと、最新号の特集内容になります。
turns.jp

学びを止めるな
続くコロナ禍のなか、オンライン教育が急速に拡大し「教育」の常識が大きく変化しています。
オンライン教育が地域ハンデ、都市と地方の情報ハンデなどの格差を解消する手法としても注目されています。
一方、それぞれの地域の特色や教育理念などを活かした独自の教育が数多く生まれています。
活発化する、オンラインとリアルの「新しい教育のカタチ」を取材しました。

特集1 移住しないと学べないこと
●ヨコスカ・バイリンガルスクール~日本の子どもとアメリカの子どもが共に育ちあう保育園
●みせるばやお~大阪八尾のものづくりを発信し、交流や体験ができる施設
●ヤッチャの学校~日南に暮らしながら学ぶ。全国の大学生向けの半年間のプログラム
●東成瀬小学校~秋田の山間部、塾もないのに東成瀬村は学力テスト「日本一」
●タテノイト~地球惑星科学研究者だった二人が秩父で営む小さな「認可外保育園」と「えほんカフェ」
●まつのやま学園~十日町市内では初となる小中一貫校。独自の教育で注目を集める。などなど

特集2移住しなくても学べること
●さとのば大学~地域で暮らしながら、オンライン学習や地域プロジェクトを通じて 学びを深める“地域を旅する大学"
●The CAMPus~インターネットをプラットフォームとした次世代型の農学校

『三島由紀夫:なぜ、死んでみせねばならなかったのか (シリーズ・戦後思想のエッセンス) 』(NHK出版)の刊行、『表現者クライテリオン』最新号、毎日コラムなどのお知らせ

 最近、ブログ更新の時間がなくて、一挙の告知になってしまいますがお付き合いください(今も、色々と追われていて、このブログも新幹線の中で更新しています…汗)。

 最初は、久しぶりの単著刊行の告知です。私個人としては、決して没後五十周年を意識していたわけではないのですが(ただ、もちろん出版社側は意識していたと思いますが―笑)、この度、三島由紀夫論を出します。これは、「余計なものを全部削ぎ落して『エッセンス』だけを凝縮して書いた本(≒入門書)」です。が、それと同時に「正攻法での文芸批評」(読むことに忠実な批評!)を目ざして書きました。
 長年、三島由紀夫に対しては「引っかかるもの」があったのですが、それに決着をつける思いで取り組みました。結果、自分では「書けた」という手応えがあります……が、後は読者の皆さんの評価を待つほかありません。多くは語りません。何卒、よろしくお願いいたします!
 以下は、担当の倉園さんが丁寧に纏めてくれた要約です。

ノーベル賞候補だった日本社会のスーパースターは一九七〇年、自衛隊に乗り込んで派手な自決を遂げる。この事件のもつ意味を、どうすれば理解できるのか?その最大の鍵は、自伝的作品『太陽と鉄』にあった。「これがわかれば、僕のやっていることが全部わかる」と三島自身が評した本作に基づいて、本書は、「言葉」と「現実」の関係の必然的な展開として、作風の変遷と作家の「思想」の構造を精確に描き出す。衝撃の「三島事件」から半世紀後にようやく登場した、気鋭の批評家による簡明かつ本格的な三島由紀夫論。

表現者クライテリオン 2020年11月号

表現者クライテリオン 2020年11月号

  • 発売日: 2020/10/16
  • メディア: 雑誌
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 次に、クライテリオンの最新号(+編集長メッセージ)と「緊急シンポ!―『大阪都構想』の真実 〜大阪都構想で日本は没落する」(藤井聡・森裕之・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎/表現者クライテリオン主催)の動画です(雑誌対談の方は落ち着いていますが、動画の方は、会場の熱気にほだされて大分激していますね……汗)
 大袈裟でも何でもなく、私は「大阪都構想(と言う名の詐欺行為)」の行方が、今後の日本の運命を左右することになるだろうと考えています。なぜそう思うのかについては、雑誌及び動画を見て確認していただくほかありませんが、住民投票まで残すところあと一週間、少しでも多くの大阪市民、そして日本国民のみなさんに「真実」を知っていただければと思っています。
 こちらの方も、何卒よろしくお願いいたします! 以下は、クライテリオン最新刊の目次です。

巻頭言

 「大阪を都にする」「大阪都を実現する」ための構想と思われがちな大阪都構想――
しかしその内実は単に大阪市という政令指定都市を廃止し、「大阪市民」の財源と権限の
一部を大阪府に譲渡し、かつ4分割するというもの。
 いわば、大阪市という会社を潰して分社化して親会社である大阪府に組み入れるかのような構想
が都構想なのだが、それにも関わらず推進派の一貫した「イメージ戦略」によってまさに今、
可決されんとしている。
 本誌は、この構想は大阪市民の自滅を導くのみならず、全国民に深刻な被害をもたらす事を
警告せんがためにここに特集「『大阪都構想』で日本は没落する」を編纂した。都構想の実現は
第一に大阪の衰退を導く事を通して、第二にデマゴーグのみで直接投票を勝ち抜かんとする
民主政治の本格的劣化を通して確実に日本の没落を導く――この認識を明確かつ高らかに公の中で
論じ尽くすことが、住民投票の結果如何に関わらず、この没落から逃れ得る唯一の道なのである。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

目次
特集 「大阪都構想」で日本は没落する――アフター・コロナの民主政治
【特集座談会】
「改革主義」は地方から乗り超えよ――戦後政治の転換点/室伏謙一×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
民主主義のジレンマ――「正しきを主張」するか「長いものに巻かれる」か/柳本 顕×北野妙子×川嶋広稔×藤井 聡

【特集対談】
都構想を巡る言論戦は「日本の民主主義」を守る戦いである/山本太郎×藤井 聡
日本の民主政治を糺す/石破 茂×藤井 聡

【特集論考】
大阪都〉構想は机上の空論だ――財政効果と経済効果からみて/薬師院仁志
大阪都構想」による大都市自治の破壊――アキレス腱としての財政問題/森 裕之
「都構想」をめぐるパワーゲーム――市民不在の政治劇を斬る/冨田宏治
「悪名は無名に勝る」は地獄の一丁目/辻田真佐憲
新たな「特別区設置協定書」を読み解く――「公明四条件」は絵に描いた餅である/大阪の自治を考える研究会
「首長ポピュリズム」の時代――日本のポピュリストはなぜ新自由主義者なのか/吉田 徹

【新連載】
移動の文学(第一回)計算尺【クライテリオン】を探して――ジョン・オカダ『ノーノー・ボーイ』を読む/仁平千香子

【連載】
南無阿弥陀仏の世界/大石久和(「危機感のない日本」の危機)
コロナ・ショックと食料自給――国産の食材こそ本当は安い/鈴木宣弘(農は国の本なり)
デフレ脱却はなぜ道半ばに終わったのか/服部茂幸(アベノミクスの失敗)
三島由紀夫の没後半世紀に/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー
保守派Ⅱ――防御的リアリズムと攻撃的リアリズム/伊藤貫(国際政治学パラダイム
伝統のラディカリズム/柴山桂太(「常識【コモンセンス】」を考える)
身体感覚の統合――テレワークやオンライン授業に欠けているもの/川端祐一郎(思想と科学の間で)
マンガと日本人の景色――言葉から考える⑤/施 光恒(やわらか日本文化論)
メディアの「反差別」が助長する差別と分断/松林 薫(逆張りのメディア論)
務めを果たさぬ日本人/磯邉精僊(自衛官とは何者か)
家康の隠居の謎――陸の防御都市、海の攻撃都市/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
「世界主義」を克服し、「国益」重視の外交を展開せよ/ブルーノ=ゴルニッシュ国民連合・前全国代表(前半)聞き手:及川健二(フランス保守論客インタビュー)
メディア出演瓦版/平坂純一
編集長クライテリア日記――令和二年七月~九月/藤井聡

【寄稿】
「ろくでもない、なればこそ」/谷川岳

【書評】
『新・政の哲学』藤井 聡 著/篠崎奏平
『大洪水の後で 現代文学三十年』井口時男 著/薄井大澄
『詩としての哲学 ニーチェハイデッガー・ローティ』冨田恭彦 著/酒井佑陶

【その他】
「絶望」から始めよう――菅義偉新政権誕生に際して / 共同体と党派性――健全な民主政治の条件(鳥兜)
「中小つぶし」など論外 / 『大衆の反逆』の新しさ――現代日本のための警鐘(保守放談)
読者からの手紙

 で、最後に毎日新聞に書いた、例の「学術会議問題」についての私のコラム「内容と形式」です。もちろん、維新(橋本・松井両氏)と菅義偉首相は近い関係にあるわけですが、ここが日本の正念場です。何卒、よろしくお願いいたします!
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毎日ナビゲートとネット動画

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 世間は、菅義偉新政権誕生を祝う空気に包まれていますが(支持率は歴代3位の74%!)、私個人としては「正気ですか?」という感想しか出てきません。今回の新政権誕生は、安倍政権のネオリベ路線(緊縮=日本破壊路線)を徹底的に押し進めてきた「黒幕」が表に出て来たというだけのことです。実際、このコロナ禍で多くの日本国民が悲鳴を上げている中で「消費増税OK」を言うセンスを持った人間が、菅氏なのです。
 ということで、お祝いムードに水を差して恐縮ですが、「自殺を食い止める政権を!」というコラムを書くと同時に、「菅新政権」を批判するためにチャンネル桜に出てきました。
 後者では、私が「サヨク」扱いされていますが、言われてみれば昔は「サヨク」だったので、強ち間違いでもないかもしれませんね(笑)。私が「サヨク」だろうと「ホシュ」だろうと、どうでもいいのですが、日本社会の衰退(悲しみの受動性=反省的理性の後退=嘘の支配=隷従への志向→家畜化)を食い止めるための議論が必要であることだけは確かでしょう。つくづく「印象論」だけを垂れ流す「バカ」だけにはなりたくないものだと思いました。何卒よろしくお願いいたします。
 
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『すばる』(2020年10月号)にインタビュー「肉体より先に言葉が訪れるということ」を寄稿しました。

すばる2020年10月号

すばる2020年10月号

  • 発売日: 2020/09/04
  • メディア: 雑誌
 先日、インタビュー「肉体より先に言葉が訪れるということ」を寄稿した『すばる』が自宅に届きました。
 この度は「特集・没後50年三島由紀夫」に因んだ寄稿となります。実は、今、NHK出版の叢書「シリーズ戦後思想のエッセンス」の書き下し作品、『三島由紀夫(なぜ、死んでみせなねばならなかったのか)』のゲラを校正している途中なんですが(色々と他の仕事が入ってきて、まだ全然終わつていません…汗)、それをギュッと凝縮して述べた内容になっています。これから出る本は本で、一つの作品として力を入れて書きましたが、インタビューの方は編集者の吉田さんの「纏め」のお陰もあって、その「概要」を示したものとしては最適かと。文芸誌の登場も久しぶりですし(笑)、是非、手に取って頂ければと思います。


 ちなみに、以下は昨日放映されたネットテレビの討論番組です。「安倍政権の総括」と「教育」にご興味のある方は、よろしくお願いします。

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クライテリオンの最新号(2020年9月号)と、インタヴィュー記事その他

表現者クライテリオン 2020年9月号

表現者クライテリオン 2020年9月号

  • 発売日: 2020/08/17
  • メディア: 雑誌
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瀬木さんの記事
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『史』原稿

mainichi.jp
 根詰めた仕事が長引いていて…ブログの更新が滞っていました。ということで、本当に久しぶりですが、告知をさせていただきます。

 まず『表現者クライテリオン』の最新号が出ます。今回の特集は「新・空気の研究」。もちろん、山本七平の『「空気」の研究』にあやかっているわけですが、この度の「コロナ禍」で蔓延した「空気」について、思想的、歴史的、社会システム的に検討しようという企画です。特集座談会には、『空気の検閲―大日本帝国表現規制』(光文社新書)などを書かれている若き近現代史研究者・辻田真佐憲さんをお迎えしています。白熱した討論、是非、手に取って確認して頂ければ幸いです。
 その他、特集原稿には、あの科学哲学者の野家啓一先生(昔、よくお世話になりました、『物語の哲学』や 『科学の解釈学』は今でも名著だと思っています!)の「専門家支配から非専門家統制へ――「空気」の専制に抗して」や、井上雅人さんの「総動員体制下の『新しい生活様式』――コロナウイルスとの『戦い』は『総力戦』なのか」のほか、寄稿原稿の野口剛夫氏の「ベートーヴェンは怒っている」も、芸術に携わる人間なら心から頷ける論考なども揃っています。
 さらに、この度は連載も充実していて――内輪褒めで恐縮ですが(笑)――磯邉精僊氏の「自衛官とは何者か(第1回)国民の中の自衛隊自衛隊の中の国民」という新連載、それに、松林薫さんの「逆張りのメディア論―メディアとのソーシャルディスタンスを取り戻せ」や、柴山さんの「伝統論の系譜学――T.S.エリオットから日本へ」や、川端さんの「芸術の科学――神経美学の試み(思想と科学の間で)」などなど…どれも本質論を伴った具体論で読みごたえがあります!
 また、私自身が関わった仕事としては、「養老孟司、常識を語る(最終回)『手入れという思想』――『バカの壁』を乗り越えるために」や「『空気』の支配に抗して――社交と常識の倫理学」などもあります。養老先生へのインタヴュー記事はこれで最終回ですが、本当に貴重な時間を頂いたと思っています。こちらの方も、是非、一読していただければ幸いです。

 あと、二つの新聞記事+一つの記事を紹介しておきます。
 一つは、私が取材協力させていただいた瀬木広哉さんの「コロナに揺らぐ日常再考―問われる『個人主義』の質」という記事(共同通信/各紙配信)。もう一つは、私の「学生の教育機会を取り戻せ」(毎日新聞ナビゲート)、それともう一つは、ずいぶん前に『史』に起稿した「コロナ後に用意のない日本人」という文章です。どれも、このコロナ騒動に対する「もういい加減にしないか」という問いかけです。
 もちろん、いくら一人で問いかけても仕方がないのは知っています……が、「幾ら食つても腹が減る事を承知しながら、やはり食はずにゐられないとふ事」(福田恆存「言論の空しさ」)なんでしょう。
 一読していただければ幸いです。

 ちなみに、以下は『表現者クライテリオン』最新号の内容です。よろしくお願いいたします。

【特別インタビュー】
養老孟司、常識を語る(最終回)「手入れという思想」――「バカの壁」を乗り越えるために/聞き手:浜崎洋介

【特集】
「空気」に抗う社交の力/辻田真佐憲×本誌編集部
専門家支配から非専門家統制へ――「空気」の専制に抗して/野家啓一
総動員体制下の「新しい生活様式」――コロナウイルスとの「戦い」は「総力戦」なのか/井上雅人
「空気」の支配に抗して――社交と常識の倫理学浜崎洋介
マスメディアは新型コロナをいかに報じたか――「アナウンス効果」が生んだ危機/窪田順生
メディアとのソーシャルディスタンスを取り戻せ/松林薫(逆張りのメディア論)
ゾンビ企業」は潰れるべきとの「空気」の支配が日本の経済社会を破壊する――誤った方向に放たれ続ける「第三の矢」/室伏謙一(アベノミクスの失敗)
ベートーヴェンは怒っている/野口剛夫
「二重行政の無駄」という罪悪――大阪維新の会の医療政策を検証する/松嶋三夫
空気の否定か、爽快な自滅か/佐藤健志(一言一会)

【新連載】
自衛官とは何者か(第1回)国民の中の自衛隊自衛隊の中の国民/磯邉精僊

【連載】
コロナからの問いに応えられない亡国の危機/大石久和(「危機感のない日本」の危機)
保守派Ⅰ/伊藤貫(国際政治学パラダイム
文学の黙示録――古井由吉楽天記』/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後文学のアルケオロジー
伝統論の系譜学――T.S.エリオットから日本へ/柴山桂太(「常識」を考える)
芸術の科学――神経美学の試み/川端祐一郎(思想と科学の間で)
移動の自由がもたらす「リベラル・ディストピア」――「移動せずともよい社会」を目指して(二)コスモポリタニズム批判㊂/白川俊介(ナショナリズム再考)
「やさしさ」とマスク――言葉から考える④/施光恒(やわらか日本文化論)
関ケ原の戦いの謎/竹村公太郎(地形が作る日本の歴史)
第三次世界大戦を避けるため、国家を立て直せ(フランス保守論客インタビュー ジャン=ラサール「抵抗せよ」党首・下院議員 後半)/聞き手:及川健二
おい、自殺者は減っているぞ!/佐藤健志(だからこの世は宇宙のジョーク)
メディア出演瓦版/平坂純一
編集長クライテリア日記――令和二年四月~七月/藤井聡

【寄稿】
軍事技術と科学者/武田靖
昨今の学校教育について/髙山啓佑

【書評】
天皇論 江藤淳三島由紀夫富岡幸一郎 著/薄井大澄
マックス・ヴェーバー――主体的人間の悲喜劇』今野元 著/田中孝太郎
『日本経済学新論――渋沢栄一から下村治まで』中野剛志 著/篠崎泰平
『白人ナショナリズム――アメリカを揺るがす「文化的反動」』渡辺靖 著/佐藤慶

【その他】
「コロナからの国家再生」の道を構想せよ / 中国――「国民国家」になれない国(鳥兜)
「命の選別」論争の不毛 / 教育機会を奪う大学の不条理を許すな(保守放談)
読者からの手紙(投稿)

【編集長から】
我が国では新型コロナ感染症に対して「国民が一丸となってウイルスを抑え込むべし」
という想念が幅広く共有された結果、「コロナは怖い」から感染すること/させることは
「悪」であり自粛こそが「善」という“コロナ脳”とも呼ぶべき単純化された認識に世間が概ね支配された。
そして「自粛警察」とも言われた相互監視現象が拡大していったのだが、これはまさにかつて
評論家の山本七平が『「空気」の研究』で論じたこわばった空気が、令和の日本を席巻したことを意味している。
 このこわばった空気の形成にはTVが中心的役割を果たしたが、そのTVにお墨付きを与えたのが専門家達であり、
その専門家達の権威を利用したのが中央政府であった。そして大阪の吉村知事や東京の小池知事は、
そのこわばった空気を活用しながらTV人気を獲得していった。言うまでもなく、空気によって膨張した政治権力が
我が国に激しい被害をもたらすことは必定だ。
 ついては本誌では、こうして一気に拡大していった不条理なる「空気の支配」を様々な視点から批評すると同時に、
そこで明らかになった我が国の民主政治、マスメディア、さらには「専門家支配体制」のそれぞれの根底に横たわる
本質的問題をえぐり出すことを企図し、本特集を企画した。是非、ご一読されたい。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

別冊クライテリオン『「コロナ」から日常を取り戻す 』が出ます!

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 消費増税問題に次ぐ、一年半ぶりの別冊クライテリオンの第二弾、丸々「コロナ」だけを論じた『「コロナ」から日常を取り戻す 』が出ます。
 これを出すために、実質月刊誌を作るペースでの作業になりました。 お世話になった関係者の皆さんには改めて感謝申し上げます、ありがとうございました。しかし、その分、中身も充実しているはずです!
 ただし、別冊は「雑誌」ではなく「一般刊行物」(単行本、ムック本)扱いとなります。これまで定期購読などで配本、献本差し上げていた方々も、今回に限っては改めて購入していただく必要があります(書店でも、雑誌としては取り扱っていません)。大変恐れ入りますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。以下は、別冊の目次となります。

【特別座談会・対談】
・コロナ「以後」の大暴動時代/施光恒×藤井聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・二メートルのソーシャルディスタンスが社会崩壊を導く/上野吉一×藤井聡
・コロナ禍は「人災」である/宮沢孝幸×藤井聡
カミュ『ペスト』を読む――大衆社会の「不条理」と闘うために/本誌編集部(文学座談会「コロナ禍」特別編)

【特集】「コロナ」から日常を取り戻す
・「半自粛」のススメ――専門家会議は、感染抑止もできないし経済社会を大きく傷付ける「新しい生活様式」を即刻取り下げよ! /藤井聡
・新型コロナ「指定感染症」解除を検討せよ――医療現場からの直言/聞き手 藤井 聡(医療現場特別インタビュー)
・経済を止めることなく高齢者を守る方法を探求すべし――新型コロナウイルス、現状と今後/木村盛世
・日本人の異常性が浮き彫りになるSTAY HOMEと「新しい生活」/和田秀樹
・コロナで滅びゆく歴史/與那覇
・「過剰」自粛の証明/藤井聡
1、感染を収束させたのは「自粛」でなく「水際対策の強化」であった
2、「効果の無い自粛」が多数あることが判明。以後、一律自粛を回避せよ
・「脱グローバル化」時代の日本の選択/柴山桂太
・コロナ禍を契機に安全保障体制の見直しを――日本の真の独立のために/安藤裕
・今、思うこと――現象論と本質論と/福田逸
・馬鹿騒ぎの構造――パンデミック下の合意形成を考える/川端祐一郎
・背骨のない民族/磯邉精僊

【その他】
巻頭コラム「鳥兜」
・「単に死んでいないだけの人々」に送る
・コロナが脅威であればこそ、狼狽えてはならない
・防疫と経済は両立させなければならない
・「マス・コミ」の時代は終わらない

(「表現者クライテリオン」メルマガ選)
1、社会崩壊を防ぐために/柴山桂太
2、コロナ禍における「落ち着き」――よりよく「敗ける」ために/浜崎洋介
3、「過剰自粛」の不条理と戦うために――敵は「コロナ」ではない「過剰自粛」である/浜崎洋介
4、公共政策とりわけ感染症対策においては「科学者倫理」の確保が極めて重要である――尾身氏・西浦氏ら専門家会議の倫理問題を考える/藤井聡

「ナビゲート2020」(毎日新聞)に、「過剰自粛の『空気』、再び?」を寄稿しました。

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 毎日新聞の「ナビゲート2020」欄に、「過剰自粛の『空気』、再び?」を寄稿しました。
 文字通りのタイトルですが、再び「緊急事態宣言」を出そうか…というバカげた「空気」について、山本七平の『「空気」の研究』を使いながら、日本的「空気」の醸成方法と、その相対化の方法を述べました。一読していただければさいわいです。しかし、毎日毎日、コロナ、コロナで、さすがにこちらも飽きてきました(笑)。

 そうだ、今、思い出しましたが、チャンネル桜さんの方にも出させていただいたんでした(汗)
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