批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

ナビゲート2019(毎日新聞)に「歴史軽視の国語改革」を書きました。

mainichi.jp
 昨日の毎日新聞夕刊に「歴史軽視の国語改革」というコラムを寄稿しました。
 以前、【浜崎洋介】文部科学省の「短慮」を批判する――「国語改革」への疑問 | 表現者クライテリオンというメルマガでも触れたことがあるのですが、「新学習指導要領」(2022年度施行)の改定に伴って、高校国語の選択科目に既存の「国語表現」に加えて「論理国語」「文学国語」「古典探究」などの3科目が新設されることになっていますが、それについて、先日、日本文芸家協会が「実学が重視され小説が軽視される」ことを危惧する声明を発表したことについての論評となっています。
 声明は、多くの高校が「論理国語」と「古典探究」を採る可能性に言及した上で、実際に、17年の新しい大学入学共通テストのモデル問題に「生徒会の規約や自治体の広報、駐車場の契約書が問題文として出題され」たことを伝えていますが、ということは、少なくとも文科省は、子供たちにとって必要なのは、今すぐに使える「技術」であって「歴史的常識(歴史感覚)」ではないと判断したということです。果たして、それが、この先どのような影響を及ぼすことになるのか……毎日のように耳に入ってくる安倍政権による「亡国政策」(公約無視のTPP参加にはじまり、公共事業費の削減、インフラの未整備・劣化の放置、電力・水道の自由化、働き方改革を含む労働規制の改正・緩和、競争原理に基づいた教育・大学改革、科学技術予算の削減、漁業法や農協法の改正、種子法の廃止、国有林野理経営法改革、外国人による土地取得の無規制、移民受け入れの拡大、IR推進法=カジノ法案の可決、そして、米中貿易戦争が激化するなかでの消費増税などなど)ですが、この国語改革も、そのなかの一つだと考えていいでしょう。

 ついでに、チャンネル桜さんでの「闘論・倒論・討論―どうしてこんな日本に?これでいいのか?文科省」という番組にも出てきました。こちらの方では「大学教育」の荒廃についても触れています。
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