批評の手帖

浜崎洋介のブログです。連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

連続講座「レジリエンス―人間と社会の強靭性を考える」の全容!+信州学習会へのお礼


 先日、告知させて頂いた連続講座「レジリエンス―人間と社会の強靭性を考える」ですが、そのチラシが出来上がりました!
 これで講座の「全容」が、より伝わりやすくなったのではないでしょうか。御覧になって頂ければ分かると思いますが、これからの日本を支えていく若い先生方を中心として講座を立ち上げています(とはいえ、45も過ぎて「若手」って言われる社会はどうなのかとも思いますが…笑)。
 「失われた30年」とは、言い換えれば「日本が脆弱になり続けた30年」でもあります。その点、この「30年」を導いたメインストリームの言説とは違う視点からの「レジリエンス(強靭性)」の議論・研究が絶対に必要になります。そして、この講座に名前を連ねる先生方は、私も含めて、まさに「脆弱になっていく日本」のなかで、様々な視点から(経済思想、公共政策・土木学、経営学、風土論、歴史学、交通・産業政策などから)その超克を考えてきた先生方です。
 この無料講座は京大「寄附講座」だからこそ企画できたもので、このような機会は、そうざらにはありません。奮ってのご参加、お待ちしております。
 以下は「申し込みフォーム」を含めた、詳細です。よろしくお願いします!
(※ちなみに、動画公開の方は、調整の結果「部分公開」になるかもしれません。その点もご了承いただければ幸いです)

【会 場】京都大学 吉田キャンパス(〒606-8501 京都市左京区吉田本町)
     総合研究2号館 1階 講義室1
     ※会場は変更となる場合がございます。その場合はお知らせいたします。
【定 員】100名
【対 象】一般、大学院生、大学生
【参加費】無料(事前申込制)
【申込方法】こちらの申込フォーム(レジリエンス経営科学研究寄附講座 2024公開講座申込フォーム)よりお申し込みください。各回とも定員に達し次第、申込を締切とさせていただきます。


<お問い合わせ>
京都大学経営管理大学院レジリエンス経営科学研究寄附講座
E-mail: info.resiliencestudies@gmail.com
https://resilience-keieikagaku.com/



 あと、こちらは、先日(7月27日~28日)に行ってきた信州学習会の様子です。
 会を企画してくれた表現者塾・信州支部(前田一樹支部長ほか、メンバーの皆さん)に、改めて感謝を申し上げます。最後は、前田家で雑魚寝でしたが(笑)、楽しい思い出になりました。
 レジリエンス連続講座も、これくらい活気ある感じにしたいと思います。
 以下は、信州支部長の前田さんが纏めてくれたメルマガ(週一回)です。もし、近くにお住いの方がいらっしゃいましたら、信州支部表現者塾各支部、連絡先のご案内 | 表現者クライテリオン)への参加を考えてみてはいかがでしょうか。気軽に問い合わせてもらえればと思います。

先日、7月27日(土)に「第6回信州支部学習会」が開催されました。長野県内外から足をお運びいただいた、参加者の方々、誠にありがとうございました。

今回は、クライテリオン編集委員、文芸批評の浜崎洋介先生に、

「教育」における2つの道―バイオフィリアとネクロフィリア

と題して、主にフロムの「精神分析」の概念を用ながら、個人と社会のどちらにも見られる、人間精神の根源的な傾向を確認し、そこから、教師はもちろん、家庭をはじめとした、様々な共同体の親・リーダー・指導者が、真に人間の自立と成長を促進する」ために知っておくべき、「教育の原理」について存分に語っていただきました。

全体は2部構成でした。

第1部では、フロムの「バイオフィリア(生命への愛)とネクロフィリア(死への愛)」という、人間が成長の過程において形成していく、両極端の「性格傾向の概念」が確認され、どうしたら、人間は暴力やあらゆる悲劇を生む「ネクロフィリア(死への愛)」への傾きから、「バイオフィリア(生命への愛)」へと開かれ近づいていくことができるか、その大筋のプロセスが浮き彫りになりました。

第2部は、フロムが「ネクロフィリアからバイオフィリアへの転換」について解説している、『悪について』の第6章を、丸ごと参加者と読み進めていくテキスト読解を行いました。
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それは、三重の意味で「実践の場」となっていました。

①フロムが、両極端の人間精神の傾向を踏まえて、どうしたら真に人間に幸福をもたらす「バイオフィリア(生命への愛)」への傾向を増大できるのか実践的に語っているという意味で。

②浜崎先生にとって、学生と共にする「テキスト読解」は、文章の意味の読み取りを共有しつつも、それを通じて学生に「躍動する精神・生命」を伝達する実践の場となっているという意味で。

③今回の学習会に参加した方々にとって、浜崎先生のテキスト読解を通じて、「意味や概念を超えた生命のリズム」を感受する場になっていたという意味で。

最後に、前回の施光恒先生をお招きした際にも、対談の相手役を務めていただいた、「粕谷先生」に登壇いただき、導入となる質問をしつつ、参加者からの質問を上手に拾っていただき、参加者と浜崎先生の議論が成立する場を作っていただきました。

以上のように非常に意義深い学びの機会が持てましたこと、講義をいただいた浜崎先生、ご参加いただいた皆様、質疑応答の司会をしていただいた粕谷先生に感謝申し上げます。

今後も信州支部では、様々な切り口から、人々が自立して思考ができ、「バイオフィリア」への近づいていける学びの機会を提供していきたいと思っております。

関心を持っていただける、企画がありましたら是非足をお運びいただければ幸いです。ということで、また来週!