批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

毎日ナビゲート「なし崩し的緊急事態宣言」と、日本富民安全研究所の動画3本

mainichi.jp
 毎日ナビゲートに「なし崩し的緊急事態宣言」を寄稿しました。
 今回は、山本七平の「『空気』の研究」の方ではなく、「『水=通常性』の研究」を引き合いに出しながら、コロナを巡る日本人の「空気」と「水」の悪循環を指摘しました。
 歴史学者阿部謹也によれば、「社会」(神に吊り支えられた個人と個人の関係性)ではなく、「世間」(個人が属している狭い共同体)のなかで生きている日本人において、己に「筋」を通そうとする者は、多かれ少なかれ「隠者」になる他はないとのことですが――阿部謹也のように兼好の『徒然草』、漱石の『坊ちゃん』や『それから』を引き合いに出してもいいんですが、それを河上徹太郎の『日本のアウトサイダー』の議論に繋げると、この「世間」問題は、より根深い問題になってくるかもしれませんが――、果たして日本人は、この「世間」の「空気」と「水」の相補的グダグダのなかで、危機管理に「筋」を通すことができるのか…?
 もちろん、山本七平も指摘しているように、近代以前の日本人(特に武士)は、その「空気」と「水」の悪循環に対する処方箋(おそらく日本人における「『道』の思想」…)を持っていたんですが、それもスッカリ忘れ去られて、このザマです。ついでに言えば、次号クライテリオンでは、その辺りのこと(処方箋=日本人の強靭性の根)を特集したいと思っていますが、まずは、ナビゲートでその前提を書きました。一読していただければ幸いです。


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 あと、『表現者クライテリオン』にも賛助して頂いている(株)日本富民安全研究所(松本勝所長)さんの動画に出てきました(3回シリーズですが、公開され次第、動画はここに纏めてアップします)。「動画」のために「文筆」の方が滞ってしまうようなら、少しバランスを考え直す必要も出てくるかもしれませんが、基本は2ヶ月に1回ほど(クライテリオン最新号の宣伝と内容紹介を兼ねて)ご協力差し上げようかと考えています。どうなることやら(笑)…まずは、様子を見てみようかと。
 ちなみに、「空気」と「水」の相補性の話は、動画のvol.3の方でもやっています。ご興味があれば、是非。