批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

「ポリタスTV」について、お詫びと訂正―この歳で失敗するとは、つくづく修行が足りません。

【再アップ】【ポリタスTV特別編】辻田×津田月イチ時事放談ゴールデン|有料会員限定で辻田さん浜崎さんと「リベラルに未来はあるか?」をテーマにお酒を入れつつ鼎談します。 #ポリタスTV - YouTube(会員限定の為か、なぜか動画画面が出ないので、アドレスhttps://www.youtube.com/watch?v=jjFG14CzLnI&t=0sも記しておきます

 先日、津田大介氏が主宰する「ポリタスTV」というネットテレビに、辻田真佐憲さんと一緒に出てきました。
 が、自分自身の「リベラル嫌い」に思わず引きづられてしまい、一部「言い方を間違った」部分があります。帰りのタクシーのなかで、ずつと「自分自身に対する違和感」があったんですが、「なんでかなぁ~」と思っていたら、「やっぱり、夫婦別姓問題で言い方を間違ったんだ」と思いあたる部分があったという次第です。ここに深くお詫びすると同時に、以下に訂正させていただきます(……しかし、この歳になっても間違えてしまうんだから、まだまだ修行が足りませんね。そういう反省の機会を頂けたことも含めて、改めて津田さんと辻田さんには感謝申し上げます)。

 まず、夫婦別姓問題について、「推進すべきか」「推進すべきではないか」という二項対立に囚われたのが、私の間違いでした。
 正しくは、「夫婦別姓(選択制も含めて)に対しては慎重に吟味すべき」と消極的に懸念を表明すべきだったのです。それを「夫婦別姓にすべきではない」と積極的に言い切ってしまったところが、間違いの始まりである同時に、自分自身に対する違和感の正体でした(何かを積極的に言い切ってしまうと、そのメリットを証明しなければならなくなってしまいますが、そんなメリットは証明できっこないのです――それは、たとえば日本語を使っているメリットを証明できないのと同じです。それは理屈以前に、というより、「理屈の前提」を支えているものとして単に馴染んでいるものであり、愛着があるものなのです)。
 その上で、夫婦別姓に関して言えば、たとえ選択制にしたとしても、過去と現在との間に要らぬ分断を生んでしまう〈かもしれない〉し、別姓夫婦と同姓夫婦の間に要らぬ距離感(分断)を醸成してしまう〈かもしれない〉、あるいは、生まれた子供に対しても要らぬ「選択」をせまってしまうときがある〈かもしれない〉など、「当事者以外の人間の共同性(計算し切れぬ無意識)に少なからぬ影響がでることが懸念される」、あるいは、「その懸念が払拭できない間は人は制度変更に慎重になることがある(その慎重さは認められるべきだ…)」ということが言いたかったことなのです。それを「別姓にすべきではない」と言い切ってしまったのは完全に勇み足でした。「後悔先に立たず」とはこのことですが、同時に「過ちて改めざるこれを過ちという」のなら、ここで改めて訂正させていただきたいと思った次第です。

 それと、「敵陣」に乗り込むときは、もう少しユーモア(諦念と媚態)をもっていくべきだと言うのも、今回、学んだことでした(笑)。「意気地」だけだと空回りして「野暮」に堕します。しかも、その単なる「意気地」が容易に二項対立に誘われてしまった要因でしょうから、つくづく修行が足りません。
 むかし、大学の師匠から「優しい野蛮人」というリングネームを貰ったことがありますが(笑)、ときどき「こんな私」の業を感じますね。