批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

「『増税やむなし』という空気」(毎日新聞/ナビゲート2019)の記事と、福岡シンポジウム成功の御礼

mainichi.jp
 しつこいのは承知の上で、今日の毎日新聞の夕刊に「『増税やむなし』という空気」というコラムを寄稿しました。
 単なる増税批判ではなく、そのあまりに不条理な判断――デフレ下での、しかも日中貿易戦争下での増税という判断――を促している「空気の支配」(山本七平)の根深さについて、それを戦艦大和の無謀な出撃を引き合いに出しながら論じています。
 危機を経て「一身にして二生を経るが如く」(福沢諭吉)緊張している間は「まとも」であることもできる日本人は、しかし、その緊張から遠ざかるに従って、なぜかこの不条理な「空気の支配」を受け始めます。戦前は明治維新から73年にして日米開戦という無謀に踏み切りましたが、戦後は74年にして「移民」と「消費増税」に踏み切りました。しかも、それが、どれだけ危険な選択であるかの自覚もなしに…。
 もはや言葉もありませんが、これを為したのが、「”保守派”が大好きな安倍政権」であることを忘れてはなりません。この「失敗」をどれだけ正しく自覚できるのかが、これからの私たちの道行きを決めることになるでしょう。



the-criterion.jp
 また、お陰様で先週末の「九州から考える日本再生・表現者クライテリオン福岡シンポジウム」(6月29日)を無事に終えることが出来ました。シンポジウムの後に3次会に流れ込むほどの盛り上がりを見せましたが(笑)、 やはり「九州」は違いますね。参加して下さった方々、協力して下さった方々に改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました!
 その後、鹿児島の知覧まで行って「知覧特攻平和会館」を見学した後、そこで「対米従属文学論」の座談会を収録しましたが、それについては、また次号の『クライテリオン』を楽しみにしていただければと思います(取り扱ったのは、「特攻文学」である吉田満戦艦大和ノ最期』と島尾敏夫『出発は遂に訪れず』です)。
 今、鹿児島は、大雨で大変ですが(私も、空港行のバスに7~8時間近く閉じ込められました…)、これ以上の大事に至らないことを祈っています。