批評の手帖

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『週刊読書人』(4月19日付/2019年)に、橋爪大三郎『小林秀雄の悲哀』の書評を寄稿しました。

小林秀雄の悲哀 (講談社選書メチエ)

小林秀雄の悲哀 (講談社選書メチエ)

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 明日発売の『週刊読書人』(4月19日付/2019年)に、橋爪大三郎小林秀雄の悲哀』(講談社メチエ)の書評「『直感』の『限界』について―小林秀雄の言葉を〝小林神話〟から救い出す」を寄稿しました。
 橋爪先生も、私の福田恆存論(博論)の審査してもらった先生であると同時に、『福田恆存 思想の〈かたち〉』の出版を斡旋してただいた恩人です。とはいえ、書評は書評、厳密に読ませて頂きました。
 結論から言うと、大変刺激的な読書体験でした。詳細は書評に譲りますが、本書は、小林秀雄本居宣長』に対する批判を介して、小林的な「直感」では辿り着けない本居宣長古事記伝』の仕事の本質を見定め、そこからライフワークである『本居宣長』に挫折してしまった小林秀雄の「悲哀」を見届けるというものです。中途半端な読みであれば、小林秀雄に跳ね返されるだけでしょうが、橋爪氏の「分析」は決して跳ね返されてはいません。それどころか、やはり小林秀雄本居宣長』の急所を突いていると言っていい(ただし、「小林秀雄論」として見れば、少々「ないものねだり」をしている感もありますが…笑)。改めて、「小林神話」から自由に小林秀雄を読むことの重要性を感じました。一読していただければ幸いです。