批評の手帖

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『表現者クライテリオン』の最新号(5月/2019年)が発売になりました!

表現者クライテリオン 2019年5月号[雑誌]

表現者クライテリオン 2019年5月号[雑誌]

 昨日、『表現者クライテリオン』の最新号(5月/2019年)が発売になりました。
 今回の特集テーマは、ズバリ、「『令和』への建白書―新時代を切り拓く国家戦略の提言」の一本です。
 ということで今回は、私の連載も含めて、ほとんどの連載を休み、この「建白書」一本に絞った雑誌作りをしています。詳しくは雑誌を手に取って頂くほかありませんが、寄稿者の皆さんからは熱の籠った論考を頂いています。これで「令和」に向けて新たなスタートを切ることができればと思っています。
 「令和」を迎えるに当たって、「政治改革」「構造改革」「規制緩和」「成長戦略」「自由競争」「グローバリズム」などの言葉が躍った「平成」の政治・経済の流れを断ち切りたいというのはもちろんですが、私に近い文学・思想に引きつけて言っても、いかにも「平成」っぽい夢物語(ゼロ年代の見果てぬ夢みたいな幼児性)、ポスト・モダン絡みの浮足立った嘘話(単なる優柔不断を決定不可能性=可能性にすり替える自己弁護的詭弁)は全部終わりにしたいと思っています。あるいは、「人生」や「生き方」に何の関係もない「言葉の戯れ」も完全に終わりにしたいと思っています(せっかく、井口時男の『蓮田善明―戦争と文学』も出たことだし)。手に取って頂ければ幸いです。
 
 ちなみに、私の名前が出ているものとしては、まずは①編集部として提出した「建白書」がありますが、②その建白書の理念を掘り下げた座談会「『令和八策』建白のクライテリオンー『実践・漸進・発展・有機体・長期展望』という五つの柱」と、③「建白書」の各論として書いた日本国憲法論「私たちの安易さの根源にあるもの―『無責任の体系』としての日本国憲法」があります。
 また、④いつもの「対米従属文学論」の連載だけは今回も休んでいません(笑)。この度は「戦後ニヒリズムの臨界値」と題して、開高健『輝ける闇』と村上龍限りなく透明に近いブルー』を取り上げています。毎度大盛り上がりの文学論ですが、一読していただければ幸いです。以下は、最新号の目次となります。よろしくお願いします。

内容紹介

【巻頭連載】
・鳥兜「解決」志向が外交にもたらす悪夢/もっと未来への投資を

【特集】
「令和」への建白書 新時代を切り拓く国家戦略の提言

〔建白書〕令和八策

・特別座談会
「令和八策」建白のクライテリオン「実践・漸進・発展・有機体・長期展望」という五つの柱

建白書
〔皇室論〕 皇統を守るために――現行憲法皇室典範の改正を急げ/富岡幸一郎
〔移民政策〕 日本を「外国人材」による多文化「モザイク構造」国家にしてはならない――それを未然に防止するための政策的対応を考える/室伏謙一
日本国憲法論〕 私たちの安易さの根源にあるもの――「無責任の体系」としての日本国憲法/浜崎洋介
〔経済財政政策〕 日本再生のために、財務省の「設置法」を改定せよ/藤井聡
〔通商・産業政策〕 日本型経済制度の保護・育成を/柴山桂太
〔農業政策〕 食料を自給してこそ独立国家なり/鈴木宣弘
社会保障政策〕 国民の紐帯の基盤としての社会保障政策――高齢者と若者の分断を超えて/村上正泰
環境政策〕 生物資源国としての環境政策/辻和希
〔国土政策〕 新しい御代における国土政策の思想/大石久和
〔都市地域政策〕 地方都市はいかに再生すべきか/松原隆一郎
〔中小企業政策〕 新時代の「中小企業支援のあり方」――伝統産業・地場産業の支援によって地元経済の活性化を/小野善生
〔北海道政策〕 北海道にリニア新幹線を――今度こそ、北海道を見棄てるな/古川雄嗣
〔東京一極集中緩和策〕新時代にふさわしい「定住型社会」の構想を――東京一極集中からいかにして脱却するか 川端祐一郎
統治機構論〕 統治機構改革を論ずるなら、占領政策を総括すべし/西田昌司
〔ジャーナリズム論〕 新聞はゲーム会社を買収せよ――「ジャーナリズム精神」が衰退の元凶だ/松林薫
〔沖縄政策〕 新たな御代における「沖縄のあるべき姿」――沖縄の基地問題/藤原昌樹
〔国防論〕 きけ さきもりのこえ/礒邉精僊
〔エネルギー政策〕 エネルギー自立国家に向けて/竹村公太郎
外交政策〕 囚人国家の「護憲ごっこ」「親米ごっこ」「国粋ごっこ」/伊藤貫
〔日本文化論〕 日本文化の発展のために――「クールジャパン」政策の批判的検討を通じて/施光恒

・一言一会 手違いで繁栄した戦後日本/佐藤健志


【連載】
・戦後ニヒリズムの臨界値(対米従属文学論)/編集部
・クライテリオンの新左翼化(だからこの世は宇宙のジョーク)/佐藤健志
・過去は現在を持ちうるか(実践としての歴史叙述)/佐藤一進
・毎月勤労統計調査問題に見る、危機の深刻化(〈世界〉を変える一枚のグラフ)/島倉原
二月革命以降 空飛ぶ大統領(〔保守のフランス史〕)/平坂純一
・メディア出演瓦版/平坂純一
・編集長クライテリア日記/藤井聡
・経営者よ、戦略として大胆な「夢」を語れ(危機と対峙する人間思考)/野中郁次郎

【特別寄稿】
・土木差別の民俗学5――鬼伝説編/中尾聡史

【寄稿】
・領地を持たない貴族/谷川岳

【書評】
・大山礼子著『政治を再建する、いくつかの方法――政治制度から考える』/折田唯
・アーサー・C・ダントー著『アートとは何か――芸術の存在論と目的論』/宮本崇司
スラヴォイ・ジジェク著『絶望する勇気――グローバル資本主義原理主義ポピュリズム』/篠崎奏平

【投稿】
・読者からの手紙

【その他】
アメリカニズムの後で(保守放談)
ネットカフェ難民エートスの喪失(保守放談)