批評の手帖

浜崎洋介のブログです。ご連絡は、yosuke.khaki@gmail.comまで。

『表現者クライテリオン』最新号(3月号/2019年)が発売になりました!

表現者クライテリオン 2019年3月号[雑誌]

表現者クライテリオン 2019年3月号[雑誌]

 今日、『表現者クライテリオン』最新号(3月号/2019年)が発売になります!
 今回の特集は二つで、一つは「平成デフレーションーいま終わる、昨日までの閉塞時代」と題した平成総括。
 もう一つは、「移民政策で日本はさらに衰退する」と題した時事批評―今、目の前にある「危機」に対する批評です。
 どちらも時宜にかなった特集ですが、頂いた寄稿原稿はどれも充実していて、いつも私自身が勉強させていただいております。
 また、今号で、『表現者』が『表現者クライテリオン』になってから丁度一年がたったことになります。西部先生からは「半年で終わってもいいから」と言われて引き受けた雑誌でしたが、一年たって、むしろ勢いは増しています。これからも、藤井編集長を中心に、編集委員、編集スタッフ、啓文社スタッフ一同しっかりスクラムを組んで、この『表現者クライテリオン』という稀有な場所を守り、育て、発展させていくことができればと思っています(今年から、日本全国を回ってのシンポジウムとは別に、定期的に東京で「表現者塾」を開催する予定です。詳しくは、メルマガ等で告知することになると思いますが、何卒よろしくお願い致します)。
 また、今号では、平成30年度「表現者賞」の受賞者発表と、その受賞者である磯邊精僊氏(いそべせいせん氏・27歳)による「我が育ての親、平成の相貌」という受賞後第一作が掲載されています。雑誌を、「新人」を見出し、育てる場として機能させていくというのも、その当初から編集委員全員の願いでありました。その願いが少しでも果たせたのであれば、これ以上嬉しいこともありません。その他、書評や読者投稿も充実しています(読者投稿は、毎号レベルが上がっています)。
 いずれにしても、『表現者クライテリオン』は読者のみなさんからのご支援あっての場所です。これからも何卒よろしくお願い致します(定期購読は、こちらからお願い致します→https://the-criterion.jp/subscription/)。

 私自身の名前が出ている仕事としては、「平成特集」の方で、與那覇潤氏との対談「平成文化論―『言葉の耐えられない軽さ』を見つめて」が一つ。また、いつもの「対米従属文学論・第五回―戦後ニヒリズムへの監禁(大江健三郎)」と、連載「日本近代批評史試論・第六回―小林秀雄と『批評』の誕生②」があります。與那覇さんには、改めて感謝申し上げるとともに、是非、一読していただければと思っています。
 以下は、3月号の目次です。ご参照下さい。

目次
〔特集1〕平成デフレーション――いま終わる、昨日までの閉塞時代
•暴走するリベラリズム、破壊された平成日本――本物のナショナリズム復権する新時代の闘争へ/小林よしのり藤井聡(対談)
•平成文化論――「言葉の耐えられない軽さ」を見つめて/與那覇潤・浜崎洋介(対談)
•改革狂の時代――平成を振りかえる/佐伯啓思
•思想のデフレーションの時代としての「平成」/仲正昌樹
•オタクとサブカルの三十年史/中森明夫
•取り返しがつかなくなってから騒ぐ人たち/適菜収
ナショナリズム不在の平成/黒宮一太
•平成とボヘミアン・ラプソディ佐藤健志
•我が育て親、平成の相貌/礒邊精僊

〔特集2〕移民政策で日本はさらに衰退する
•移民政策で日本はさらに衰退する/施光恒・黒宮一太・柴山桂太・川端祐一郎(座談会)
•No nation, No border――暴走するドイツ移民政策とメルケル首相の功罪/川口マーン惠美
•改正入管法に係る政策的課題と施行に向けて政府がなすべきこと――「亡国の移民政策」にしないための処方箋/室伏謙一

〔連載〕
•思想としての防災(2)/大石久和
•時が場所をつくる条件(3)/松原隆一郎
•日米通商協定交渉(FTA交渉)が破壊しようとするもの――農業にとどまらない国民生活上の重大問題/磯田宏
•対米従属文学論:戦後的ニヒリズムへの「監禁」――大江健三郎「後退的青年研究所」「セヴンティーン」について/編集部(座談会)
高橋源一郎『今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史・戦後文学篇』から/富岡幸一郎
ビスマルクの武断主義と避戦外交 Part1/伊藤貫
•官僚制化する世界/柴山桂太
•大衆化を加速する、地方へのインフラ投資不足/藤井聡
小林秀雄と「批評」の誕生②/浜崎洋介
•軽んじられる「孤独」の価値――グループ討議は創造性を高めない/川端祐一郎
•実践史学批判/佐藤一進
•北海道開拓という「人道に対する罪」/古川雄嗣
•危機の時代、記者は暗号で語る/松林 薫
平清盛を継いだ頼朝――なぜ、頼朝は辺境の地・鎌倉に?/竹村公太郎
•「人手不足」を解消したければ、積極財政でデフレを脱却せよ/島倉 原
•2019年は『大英雄』の時代だ!/佐藤健志
•王政復古、七月王政二月革命――フランス正史の暗渠/平坂純一
•何処でもない街――ポール・オースター「ニューヨーク三部作」(上)/鈴木ふさ子

〔書評〕
•ダグラス・マレー著『西洋の自死――移民・アイデンティティイスラム』/折田唯
ジル・ドゥルーズ著『基礎づけるとは何か』/篠崎奏平

〔投稿等〕
•平成30年度「表現者賞」発表――受賞作品:磯邉精僊「日本に軍隊は存在し得るか」
•読者からの手紙